先日開催された日本アンドロロジー学会において
鍼灸治療による男性不妊症への改善の可能性が示唆されました。
以前から男性不妊への適応はあるものの、なかなかエビデンスと言えるところまではいかず、
模索しているところでしたが、今後展開が大きく変わっていくきっかけとなるかもしれません。
男性不妊症への鍼灸治療の効果
今回の発表では、京都のグループから行われたものです。
男性不妊患者へ鍼灸治療を施し、治療前後での精液所見を確認したというもので、
精子濃度や精子の運動率などの数値に改善が見られたということを報告しています。
ここでいう男性不妊症の改善というのは、見る限りにおいて、
閉塞性無精子症のような物理的なものを解消するということではなく、
乏精子症や精子無力症のような方への改善効果が期待されるというものです。
男性不妊症の改善というのが、どのような不妊治療への影響を及ぼすかというと、
例えば、精液所見がとても悪いために、顕微授精を行わないと難しいという方で、
女性に不妊原因がなければ、タイミング法でよいというように、治療のステップを戻すことができます。
(ステップダウンとも呼ばれます)
不妊原因は男女半々ですが、治療のための通院負担や侵襲の度合いは女性の方が大きいこともあります。
男性に不妊原因があり、それを軽減することはご夫婦のためにも効果的と考えられます。
精子を作るまでのプロセスは70日程度かかるとされ、取り組み自体はやや長期的にはなりますし
今回の研究では、まだ症例数が少ないため、今後さらなる大規模スタディが求められます。
当院でも検討し、対応していきたいテーマの一つです。