不妊治療は、仕事との両立が極めて難しい治療の一つです。
入院するというようなことは少ないと思いますが、
・スケジュールが立てにくいこと
・カミングアウトしづらいため、協力を得づらいこと
・社会としての受け入れ
の点に問題があるのではないかと思います。
今回、NPO法人Fineが不妊白書2018を発行しました。
そうした内容と共に、私たち医療機関でできることを考えてみたいと思います。
仕事と不妊治療の両立の状況
NPO法人Fineのホームページは以下から確認ください。
患者団体として様々な活動をされており、助成金の承認を得るなどの様々な活動をしてくださっています。
http://j-fine.jp/
代表の松本さんの「不妊治療のやめどき」は必見です。
ご興味ある方はぜひご一読ください。
今回は仕事と不妊医療の両立について簡単に紹介したいと思います。
今回の不妊白書2018では、5526名の方から回答を得ており、そのうち半数は体外受精以上の治療をされています。
大変多くの方からの回答であるため、皆さんにとっても参考となるのではないでしょうか。
①仕事と不妊治療の両立の難しさ:95.6%
仕事と不妊治療の両立が難しいと感じている方は、
もうほぼ大半というか全員と言えると思います。
この回答者の中で、現在仕事をしていると答えた方は77%。
そのうちの64%が正社員として勤務されています。
雇用形態は様々なありますが、一様にして、仕事と治療の両立は困難であると感じられているのが実情です。
②難しいと考えられる理由
急に頻繁に仕事を休むことが必要であること
生理周期に合わせた通院スケジュールの立て方
が大半をしめました。
その他、気になるものでは、
・ほかの人に代替が難しい業務内容
・管理職としての責任を果たせない
などといったものも見られ、当院でもこうした方は多くみられる印象をうけました。
③予定に支障をきたした経験がある:89.4%
前段としてこのような情報があることを医療機関は認識をする必要があるように思います。
医療者としては、安全でレベルの高い技術を目指すのは当然かもしれませんが、
もしかすると、患者さんはもっと違うところで悩まれているかもしれません。
ただ、どちらかがあればよいということだけではなく、
両方が求められる時代になってきているのではないでしょうか。
患者さん中心の医療を求めて、私たちもどんどん仕事と治療を両立させ、
一日でも早く、一人でも多くの妊娠・出産に貢献できるように努力します。
現在では、早朝の診療を可能にする朝妊活や日曜診療。
また、会計による待ち時間を無くすためのまとめ払い制度などを精力的に実施しています。
不妊白書2018は非常に中身が濃いので、シリーズで紹介していきたいと思います。