当院では、妊孕性温存に積極的に取り組んでいます。
HOPE(Human Ovarian Preservation Enterprise)というチームを立ち上げ、
精子凍結・卵子凍結・受精卵凍結・卵巣組織凍結
とあらゆる妊孕性温存に対応できるように日々研鑽を重ねています。
今回は、卵巣組織凍結の勉強会を院内で実施いたしました。
卵巣組織凍結の現在のステージ
卵巣組織凍結を経て、130人の健康なお子さんが生まれているという報告があり、
卵巣組織凍結の実施件数も日本でも世界的にみても急速に増えてきつつあるのが現状です。
妊孕性温存は、通常の生殖医療と異なる点があるとすると、
凍結保存期間が長いことがあります。
がん治療を行うためです。
小児がんということになると10年以上ということもしばしばあることと考えられます。
これまでの議論の主たるところは、どう凍結するか?という点でなされており、
当院でも緩慢凍結法とガラス化凍結法のどちらが良いのかということについて、
様々なところで発表を重ねてまいりました。
凍結自体は件数も増え、安定的に行えるようになってきた今、
考えるべきは凍結物を融解して移植するときのことを考える時期が来ています。
どれくらいの切片数を戻すべきか
その際の指標は何なのか
腹膜のどこに戻すのが良いのか
というようなことを、先行する諸外国のデータから学び、
研究(ウシなど)で確かめていくことが今後必要になってくると思います。
まだ試験的とされる卵巣組織凍結ですが、細心の注意を払いながら、
一人でも多くの方の妊孕性温存に貢献できるように、スタッフ一同取り組んでいきたいと思います。