以下でも記載しましたように、
日本で現在臨床研究中の着床前スクリーニングは、諸外国では盛んにおこなわれています。
初期の有用性については評価したうえで、現在のこの検査法についてアメリカ生殖医学会の正式なコメントが出されています。
先行してPGT-Aに取り組むアメリカでのPGT-Aへの評価
The use of preimplantation genetic testing for aneuploidy (PGT-A): a committee opinion.
Fertil Steril. 2018 Mar;109(3):429-436
ここでは
より良い胚を選別し、単一胚移植による妊娠率が高まることで、多胎妊娠の防止にPGT-Aは効果的であると考えられており、
この検査は染色体の「異数性」を見る検査であるため、年齢による染色体異常の影響を選択によって低減できると考えられてきたため、
38歳以上への適応と考えられているが、現時点では明確な線引きはなされていません。
反復性流産の方にとっては有効な方法と考えられています。
一方で、この検査のために凍結⇒融解⇒Biopsy⇒再凍結という作業による胚へのダメージの可能性があることと、
検査自体が胎盤になる細胞から、将来胎児になる細胞の状態を「予測」するという不正確さを持っていることもあり
若年層への適応は現状考えられていないようです。
現時点で、特に問題となっている点では、やはり前述のとおり
モザイクに関するものです。
年齢が38歳以上となり、染色体異常の割合が高くなることは確かではあるが、
一方で加齢とともに取れる卵の数は確実に減っていくわけで、
その中で健康なお子さんが生まれる可能性のある胚盤胞を捨ててしまうということは、
妊娠可能性を下げることにつながってしまう可能性さえあるということのようです。
アメリカの生殖医学会では、あくまでもこの技術は検査の一つであり、
様々な他の技術と組み合わせたうえで使用すべきではないかと考えられています。
そうした不確かさへの対応が今後日本でも実施可能となった場合には、
考えなければいけない課題ですし、医師をはじめとした遺伝カウンセラーなどによる情報提供が
一層必要となっていくものと思います。