男性が不妊治療に臨むうえで絶対に気を付けなければならないことは、
「精巣の温度を上げないこと」
が一番に上げられます。
ではどういったときに精巣の温度は上がるのか?
注意点と対策について紹介したいと思います。
男性の精巣の温度はどのようなときにあがるのか?
男性の精巣温度が高まる要因として、内的なものと外的なものがあります。
外的なものというのは、環境に依存するもので、
例えば、
高温環境で働いていること
長時間のサウナや長風呂
膝上でのPC操作、ポケットのスマートフォン
長時間の座位
などが考えられます。
こうしたもののうち、ちょっとした注意で変えられるものも多くありますが、
人によっては、高温環境で働いていることを変えるのは難しく、
長時間の座位というのも、現在のワークスタイルからはなかなか変えようがないかもしれません。
(座位については、定期的に立ち上がることで十分解消されるという報告もあります)
また、内的な問題としてあげられるのは、
長期間の高熱状態(おたふくかぜとか血液がん)
精索静脈瘤
肥満
が考えられます。
また、これまで精索静脈瘤や男性不妊と肥満についてはたくさん紹介していますので、
以下から確認いただけます。
男性の肥満は男性不妊(精液量の低下、総精子数の低下)に関連する
実際に上記のうち、精索静脈瘤と肥満の方を対象にして、
そのような場合にはどれくらいの温度上昇がみられるのかモニタリングしている論文です。
Garolla A et al.,Hum Reprod. 2015 May;30(5):1006-13
Twenty-four-hour monitoring of scrotal temperature in obese men and men with a varicocele as a mirror of spermatogenic function.
この研究では、陰嚢の表面の温度をモニタリングしたところ、
精索静脈瘤のある男性では正常の男性と比較して、
左で約0.8℃、右で約0.6℃高くなっており、
肥満の男性でも左右とも0.7℃高いと報告しています。
通常、不妊治療は対症療法の側面が多くみられますが、
精索静脈瘤や肥満は根治療法に当たります。
手術や体質改善によって、根本的に治すことができれば、生殖に関してはもちろんのこと、
ご本人のQOLにも影響していく可能性があるのではないでしょうか。
また、2018年4月より精索静脈瘤は保険適応となっています。
ご希望の方は、お問い合わせくださいませ。