食生活と妊娠については、様々な報告があります。
特に地中海食は注目され、妊娠との関係が強いことが言われています。
妊娠しやすい、という定義を何に求めるかにもよりますが、
今回は子宮内膜の厚さとの関係があるところで、全粒粉についての研究を紹介したいと思います。
全粒粉の摂取が子宮内膜を厚くし、着床率・妊娠率を高める
そもそも、全粒粉とは何?という方もいらっしゃるかと思いますが、
全粒粉とは、小麦のすべてを使用しているものです。
小麦粉は、小麦の表皮・胚芽・胚乳という部分のうちの胚乳のみを使用していますが、
全粒粉はこのすべてを使用しているので、ミネラルをはじめとしたたんぱく質など栄養分を豊富に含みます。
Maternal whole grain intake and outcomes of in vitro fertilization.
Gaskins AJ et al.,Fertil Steril. 2016 Jun;105(6):1503-1510
アメリカでの研究で、2007年から2014年の間に体外受精を実施した273名438周期について、
前向きコホート研究を行いました。
この研究では、全粒粉の摂取量と妊娠率との関係をみたもので、
子宮内膜の厚さの変化、着床率、妊娠率の差を解析したものになります。
全粒粉の摂取量に応じて、4つのグループにわけ比較を行ったところ、
全粒粉の摂取量が最も多いグループと最も低いグループとでは、生産率において、
53%対35%と開きがあり、有意さを認めました。
より詳細に細かな数値の比較を行ったところ、両群間での差分として抽出されたのは、
子宮内膜の厚みでした。
つまり、
全粒粉を多く摂取する
子宮内膜が厚くなる
着床しやすくなり、妊娠率、出産率が高まる
ということです。
この研究によれば、
1日あたりの全穀物摂取量を28g増加させると子宮内膜の厚さの0.4mm厚くなる
としています。
全粒粉の食品はパンなどに多くありますが、
全粒粉だけというパンはあまり多くないようですが、
日々食べるものに少し注意を払うことで、妊娠しやすい身体づくりはできていきます。
もちろんですが、全粒粉だけ食べていれば妊娠するわけではありませんので、
何事も適度な範囲で行われるのが良いと思います。