よくお問い合わせをいただく内容で、
AMHが高いので妊娠できますか?
というようなものや、セミナーなどでも、
私は年齢の割にはAMHが高いので、妊娠しやすいといわれている、
というようなコメントをいただきます。
今回はAMHは卵子の質に影響を与えるか、についての新しい論文をご紹介したいと思います。
AMHは卵子の何を反映しているのか?「数」?「質」?
当院の考えをまずお伝えすると、AMHは卵子の数を反映しているものと考えています。
実際に、AMHが1を切っている女性でも、一般不妊治療や体外受精などを含めて、妊娠例は多々あります。
ただし、AMHが低いということは残されている卵子の数がすくないということですから、
治療計画に与える影響は少なくないため、指標として重要であるということには注意が必要です。
これまでのAMHに関する紹介は以下から確認ください。
その他、
もご紹介しています。
今回は以下の論文を紹介したいと思います。
Reprod Biomed Online. 2018 May;36(5):568-575
Korsholm AS et al.,
Investigation of anti-Müllerian hormone concentrations in relation to natural conception rate and time to pregnancy.
北欧で行われた研究で25歳から42歳までの女性260名が参加し、
AMHの値によって、低値、中央、高値の3グループに分け、
妊娠率および妊娠にかかるまでの期間について、解析し比較検討したというものです。
参加者の年齢については
低値:35.1歳
中央:32.6歳
高値:31.5歳
とやや低値の群が年齢が高い傾向にはありました。
妊娠率は
低値:60.1%
中央:70.0%
高値:78.3%
と各グループに差を認めていますが、内訳をみていくと、
低値のグループでも自然妊娠をしている人もおり、最も低い値の人では0.16の方が自然妊娠している
とされています。
妊娠にかかるまでの期間は、
低値:61日(0-523日)
中央:31日(0-568日)
高値:31日(0-334日)
と低値と中央値、高値の間に差はあるものの、グループ内での変動もかなり大きいことが判ります。
ここでわかることとしては
AMHが低い人でも(平均年齢35歳)、60%以上の方が妊娠しているということです。
そのため、AMHは質に影響を与えるということではないと考えられます。
AMHが低いと診断を受けたからといって絶望する必要はないですし、
AMHが高いと診断されたからといって安心材料になるわけではありません。
そのうえで、本人の希望に応じて、最適な治療計画を立てることが重要なのではないでしょうか。