男性の生活習慣と不妊リスクについて紹介します。
今回は肥満と男性不妊についてです。
肥満は男性不妊(精液量の低下、総精子数の低下)に関連する
女性の肥満に関する内容は以下でも紹介しています。
今回はアメリカのLIFEスタディーという研究を紹介したいと思います。
Hum Reprod. 2014 Feb;29(2):193-200
Eisenberg ML et al.,
The relationship between male BMI and waist circumference on semen quality: data from the LIFE study.
LIFEスタディでは、501組の不妊症のカップルを対象として、
追跡的に調査をしたものです。
今回の研究では、その男性を対象として行われました。
前方視的に追跡的に行われた研究であるため、治療を行って、後から振り返る後方視的研究と比べると、
とても信頼度が高いと考えられています。
この研究で得られたこととしては、
対象となった方々は468名おり、
平均男性年齢31.8±4.8歳、
BMI 29.8±5.6kg 、
およびWC 100.8±14.2cm
といった方々です。
この対象の82%が肥満と考えられ、
週に1回の運動という方が58%でした。
こうした方々のBMIと腹囲、精液パラメータを検証しました。
その結果として
精液量はBMIおよび腹囲の増加に伴って直線的に減少し、同様に、全精子数は、WCと負の直線関係を示しました。
一方で、BMIと腹囲の増加と精液の濃度、運動性、活力、形態またはDNA断片化率との間に有意な関係は見られなかった。
としています。
このことから男性の肥満は、精液量・総精子数においてマイナスの影響があることが考えられます。
具体的に診療の場面で言えば、
男性が肥満であることが原因で、タイミング法では難しく、人工授精になる。
同じように人工授精では難しく体外受精や顕微授精になる
ということにつながる可能性もあるということですね。
実際に当院でも、肥満の方はまずはダイエットからというケースも少なくないですし、
その他に喫煙されている方もまずは禁煙からということもお伝えしています。
健康的な生活・身体は妊娠しやすい環境に直結していますので、
気になる方はぜひ一緒に改善していきましょう。