先日、台北で行われたASPIRE2018(Asia Pacific Initiative on Reproduction)において、
高輪院の橋本副院長を筆頭に行われている子宮内フローラに関するポスター発表をいたしました。
子宮内フローラの研究は、昨年から臨床研究を始めたもので、
日本からの発表は初めてのことと思います。
子宮内フローラと臨床成績の関連性
子宮内フローラに関する研究は、次世代シーケンサーを用いて加速度的に進んできています。
世界では、一部で妊娠継続との関連性、早産との関係性が報告されていますが、
まだまだ報告が少なく、これからが期待されています。
特に日本人のフローラについては、これまで検査さえしてこられなかったので、
どういった特徴があるのかということもわかっていない状況でした。
子宮内の環境を調べる検査には、ERAや慢性子宮内膜炎の検査などがありますが、
費用や侵襲性などを考慮すると、フローラは非常に優れていると考えられます。
今回の研究では、まだ明確な結論は得られていないものの、
かなりの確率で体外受精などの治療を行う方の子宮内フローラ環境と
妊娠・出産した方の環境に違いがあることがわかりました。
今後はより数を増やしつつ、検査の先の治療法として、子宮内洗浄、抗生物質の投与、ラクトフェリンの服用など、
どういった治療が適切となってくるのかも含めて、より多く症例を増やし、
治療を行って臨床成績を比較するなどの対応が今後ますます必要となっていきます。
当院には多くの患者さんがお越しになり、その中には反復着床不全の方なども多くいらっしゃいます。
そうした方にとって少しでも可能性が高まる治療が提供できるよう、
こうした研究も患者さんとのコンセンサスを取りながら、進めていきたいと思います。
その他、今回のASPIREでは、理事長の京野より「日本の妊孕性温存」について講演させていただき、
高輪院の培養部の小倉が、タイムラプスを用いた観察についての口頭発表をいたしました。
こうした学会では、多くの知識が新たに得られますので、今後も続けていければと思います。