当院で、新たに採用している妊孕性温存について紹介したいと思います。
コンセプトとしては、
「患者さんはがん治療に集中しながら、妊孕性温存を実現する」
ということを目指しています。
遠隔診療を用いた妊孕性温存
当院では、遠隔診療を用いて、全国各地の患者さまへの診察を実施しています。
この遠隔診療による利点は何より、身体的な負担が少なく済むことがあげられます。
このシステムがより浸透していけば、患者さんが医者を選ぶということにもなるように思います。
(もちろん、遠隔だからこその過大もまだまだあると思います)
実際に特に妊孕性温存の領域では、未整備地域というものがあります。
この未整備地域というのは、卵子凍結や卵巣組織凍結がその県内で実施できない施設を指します。
そうした都道府県が13県あると、報告されています。(2018年2月11日時点)
そうした都道府県では、例えばがんにかかられたとして、妊孕性温存はできなくてよいのか、というと
そうではありません。できることであれば等しく実施されるべきです。
また、同時に妊孕性温存をする・しないだけではなく、
すると決め、実施した後にはがん治療があり、治療の段階を経て、温存した卵子や受精卵や卵巣組織を戻していきます。
その間の患者さんのフォローを行うのにも活用可能と考えられます。
先日の学会でもありましたが、がん患者さんが体験されている悩みは、
生殖医療の側面だけではとらえきれず、外見上の悩み(アピアランスケア)や経済的な面など
悩みは尽きないことでしょう。
生殖医療専門医だけでなく、がん治療医の先生方、心理カウンセラー、遺伝カウンセラー、
看護師などのヘルスケアプロバイダーの方と連携をしながら、
がん患者さんをひとりにせず、一人でも多くの方をサポートできるように、
様々な手段を活用していければと思います。