コエンザイムQ10が様々なところで、注目されています。
今回は中国で行われた無作為比較化試験による結果をもとに、
特に卵巣予備能(AMH)が低下している女性に対しての、
治療前のコエンザイムQ10服用がどのような効果を及ぼすかについて解説したいと思います。
ART治療前のコエンザイムQ10の摂取による効果
コエンザイムQ10に関する基本的な働きなどは、以下から確認いただけます。
今回は中国で行われた研究を一部紹介します。
Xu Y et al.,Reprod Biol Endocrinol. 2018 Mar 27;16(1):29
この研究は、無作為比較化試験といわれるもので、信頼度が高いとされるモデルです。
今回は、卵巣の予備能が低下している若年女性に対して、コエンザイムQ10を投与して、
その後の予後を比較したというものです。
卵巣予備能が低下しており、刺激をしても反応が得られない状態の方をPoor Responderと呼ぶことがありますが、
この方々の定義として、この研究では、
年齢35歳未満、
抗ミュラー管ホルモン(AMH)<1.2ng / ml
卵胞卵数(AFC:)<5
という条件で集めました。
除外条件として、反復着床不全、子宮奇形、染色体異常や自己免疫疾患の方などがあります。
(卵巣機能の低下以外に、大きな不妊原因がない方を対象としている)
その結果集められた186名の方々を
コエンザイムQ10を飲むグループと飲まないグループにランダムに割り付け、
飲むグループにはコエンザイムQ10を200mgを1日3回、60日間投与しました。
すべての参加者は、GnRHアンタゴニスト法での刺激を行い、体外受精もしくは顕微授精を行いました。
コエンザイムQ10を飲んでいたグループは
卵巣刺激に使用したゴナドトロピン(卵巣刺激に使用する薬)が少なく、
一方でピークE2は高い数値(2349:1648)を記録しました。
より多くの卵子が回収され(4:2)
より高い受精率となり(67%:49%)
高品質な胚が得られた
としています。
また、凍結保存された胚を有する患者は、コエンザイムQ10を飲むグループのほうが多くいました。
妊娠率や出産率については、コエンザイムQ10を飲むグループのほうが高い数値を記録しましたが、
統計的有意差を認めませんでした。
良い胚が多く得られているということですから、可能性としては、
このまま追跡的に研究をみていったり、より規模が大きな研究となれば、
最終的な妊娠成績にも影響を及ぼす可能性があるのかもしれません。
卵巣の反応が乏しいというときの原因は不明な部分が多くありますが、
重要な原因の一つが酸化ストレスであると考えられています。
強い抗酸化能を持つコエンザイムQ10の有効性が期待されています。
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