PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の患者さんは、その特徴上、成熟卵子が育ちにくいために、
排卵誘発剤を用いた治療が行われることが多く、現在ではクロミッド(クロミフェン)
あるいはフェマーラ(レトロゾール)が一般的に使われるのではないかと思います。
今回は、クロミッドがききにくいと思われる方々へのコエンザイムQ10の有効性について
発表している論文について紹介します。
PCOSの患者さんへのコエンザイムQ10併用療法
以下の研究について紹介します。
Reprod Biomed Online. 2014 Jul;29(1):119-24
PCOS患者でクロミフェンが効きにくい(クロミフェン抵抗性)101名153周期の方を
クロミフェンとコエンザイムQ10を併用するグループ
クロミフェン単独で使用するグループ
とでランダムに分け、その結果を比較するという研究が行われました。
コエンザイムQ10について詳しく知りたい方はこちらを確認ください。
結果の良し悪しを判断する尺度としては、
卵胞数
血中エストラジオール
血中プロゲステロン
子宮内膜の厚さ
排卵の有無
妊娠率
流産率
を用いて行われました。
結果としては、
卵胞数:併用したグループは14mm以上、18mm以上の小卵胞の数が有意に高かった
血中エストラジオール:併用グループの方が高い
血中プロゲステロン:併用グループのほうが高い
子宮内膜の厚さ:8.82mm対7.03mmで併用グループのほうが高かった
排卵の有無:併用グループのほうが高い(併用グループ:65.9%[54/82]、単独グループ:15.5%[11/71]
妊娠率:併用グループのほうが高い(併用グループ:37.3%[19/51]、単独グループ:6.0%[3/50]
という結果が得られたとのことで、この論文では、
クロミフェンがききにくいというときにhmg-hcg療法へ移行する前に、この治療を考慮すべきではないかと結んでいます。
一方で、同じ年に発表されている内容として、
PCOSの患者さんへの内服薬治療には、レトロゾールが標準的に使用されるべきという考え方もありますので、
詳細はドクターと相談されて進めていくのが良いと思います。
コエンザイムQ10自体は安全性も高い成分であるため、補充することにデメリットはないと考えます。
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