こんにちは、生殖心理カウンセラーの菅谷典恵です。
「隣の家族は青く見える」が終わってしまいましたね。
少しさみしいですが、今回の内容から見える心理について振り返ってみたいと思います。
男女の思考差
「私と結婚している限り、だんなさんはお父さんになることができない。
いっそのこと離婚して、私ではないほかの若い女の人と結婚すれば、彼はお父さんになれる。
彼の両親も孫を抱くことができる。そうした方が良いのでないかと思います。」
これは、カウンセリングにおいてしばしばお聞きする気持ちです。
これから先、私といてもパートナーは幸せではないのではないか、
何も言わないけど、それは色々考えているからではないか?
希望が叶わない時、本当にこのように考えたくなりますよね。
なかなか妊娠できない=女性としての価値がない
と考えて不安の塊になって、どちらの方向へ向かっていったら良いのかわからなくなってしまう、という方も少なくありません。
しかし、男性はそのように考えていないことがほとんどです。
むしろその気持ちを伝えてみると、
「何を言っているの?そんなこと考えたこともないし、
子どもがいなければいけないわけではないよ。」
と不安を否定する答えが返ってくると思います。
そう言ってもらえたら安心できますし、確かめたいですよね。
思い切ってお聞きになってみると良いかもしれません。
人は意外に、一番強く思っていることを口にしないのです。
女性は言葉に出してみて安心する面がありますが、男性は黙っていてもわかるでしょと考えていることもあります。
言葉に出して確認していかないと不安だという気持ちを伝えて、付き合ってもらうのも良いと思います。
また、最終回は「幸せ」に焦点が当たっていましたが、幸せに対する価値観は色々で良いと思います。
自分が幸せかどうかは自分しかわからないことです。
他人に照らし合わせて考えがちですが、幸せは自分の中で決めることです。
自分が持っていなくて、他人が持っていることばかり数えたくなりますが、
自分が持っているものにもぜひ注目してください。
「ないものねだりよりも、あるもの探し」
が人生をポジティブに生きるコツです。
ここでも男女の思考差はよく表れます。
他人と比較をしてしまいがちな女性と、
「うちはうち」とあまり比較をしない男性、
という構図が成り立ちますが、
これは同時に、女性が考えていることは男性には見えていない、ということになります。
逆もまた真なり。
だからこそ気持ちを口にして想いを伝える努力が重要なのです。
そして、生殖医療とどのように向き合っていくかも、ひとそれぞれです。
現場にいますと、体外受精を1回でやめることのできる人の方が少ないように感じます。
やはり可能性の高い方に期待をしたくなるので、治療を止めるのが怖くなる面もあります。
あきらめたいけどあきらめられなくて辛い、
体外受精に進みたいけど、歯止めがきかなくなりそうで怖い、
というお話しも良くお聞きします。
この治療をいつ辞めるか、諦めるという選択肢を選ばないといけない時がやってくるのか、
どのようにしたら子どもを持つ希望を諦められるのか、
こうした気持ちとどのように向き合って言うかということは大きな問題です。
率直な気持ちをご夫婦で話したり、時にはカウンセリングを利用しながら、
自分たちにとっての「幸せ」を見つめなおす機会を持たれると良いなと思います。
要は、答えは自分の中にしかないということです。
このドラマの根底に流れているテーマは、「多様性」だったのではないかと思います。
人がそれぞれ幸せを求められるように、偏見や思い込みにとらわれずフラットに生きていきたい、というメッセージは受け取りました。
傷つくことが少ない世の中になってほしいなと願います。
10回にわたりドラマの内容を見てきましたが、最後にお伝えしたいのは、
「こうじゃないといけない」なんてことは存在しないということです。
自分を大切に、自分らしく自由にふるまうことができるよう、進んでいけたら良いですね。
お読みいただきましてありがとうございました。