ビタミンDは生殖医療において、非常に重要な役割を果たします。
過去のビタミンDに関連する記事は以下から確認ください。
今回は日本国内で行われた研究で、血中ビタミンD濃度ががんの罹患率と関係している可能性があるという
研究成果が発表されているので、ご紹介したいと思います。
ビタミンD濃度が高くなると、がんにかかるリスクが下がる
今回ご紹介するのは、日本で行われた研究です。
Plasma 25-hydroxyvitamin D concentration and subsequent risk of total and site specific cancers in Japanese population: large case-cohort study within Japan Public Health Center-based Prospective Study cohort
Sanjeev Budhathoki et.al.,BMJ 2018; 360: k671外部参照:国立がん研究センター関連ページ
本論文は、1990年に日本全国から5か所の保健所と1993年に6か所の保健所において、
調査を行い、健診などで血液を提供された40~69歳の男女33736人を、
2009年まで追跡した結果に基づいて、血中ビタミンD濃度とがん罹患リスクとの関連を調べた結果で、
日本国内での多目的コホート研究となっています。研究開始から2009年までに、3,734人のがん罹患が確認されました。
これに対し、同じ33736人の中から、4,456人を無作為に選んで対照グループに設定しました。
血中ビタミンD濃度を4群にわけ、血中ビタミンD濃度が最も低いグループを基準としたところ、
血中ビタミンD濃度が2番目に低いグループから何らかのがんに罹患するリスクが統計学的有意に低下し、
血中ビタミンD濃度が2番目に高いグループで最もがんに罹患するリスクが低下していました。
また、血中ビタミンD濃度が最も低いグループを基準に、最も高いグループのがん罹患リスクを部位別にみたところ、
肝がんの罹患リスクが統計学的有意に低下していました。
また、最もビタミンD濃度が低いグループと比べ、他のグループは、ほぼ全ての部位においてがん罹患リスクが上昇する傾向は見られませんでした。
今回の前向き研究から、血中ビタミンD濃度が上昇すると、全体のがんに罹患するリスクが低下することが示唆されました。
実はこうした研究結果は諸外国でも確認されているものもあり、
アメリカの国立癌研究所においても、17,000人を研究対象として、
ビタミンD血中濃度の高い人は、低い人に比べて大腸がんの発症率が75%低いということを発表しています。
欧米諸国では大腸がんが主に関係するという研究結果が発表されていますが、
アジア人、日本人ではまた異なる結果となっています。
今後一層の研究が求められます。
がん予防についても、生殖医療についても、
「健康的」であることが欠かせないと改めて強く思います。
日頃からビタミンDについては、意識して摂取することが求められますね。