以前、ビタミンDと男性不妊、精液所見との関係については、
紹介しています。
様々なところで生殖との関連性が強いことで知られているビタミンDですが、
今回は男性不妊に関する情報の続報です。
男性の精液所見に対するビタミンDの効果
今回の研究はデンマークでおこなれたものです。
Vitamin D deficiency and low ionized calcium are linked with semen quality and sex steroid levels in infertile men
Martin Blomberg Jensen et.al. Human Reproduction, Vol.31, No.8 pp. 1875–1885, 2016
2011年〜2014年に1248人の不妊男性の調査結果で、
ビタミンDが十分(>75nmol/L=>30ng/ml)な男性は、
ビタミンD欠乏(<25nmol/L=<10ng/ml)の男性に比べて運動精子数が66~110%と有意に増加していました。
本論文は男性でもビタミンD欠乏は精液所見の低下をもたらすことを示しています。
ビタミンDは精子の運動能力を高め、精子の細胞内へのカルシウム吸収を促すことで精子の受精能力の獲得に関与しています。
男性もビタミンD濃度を測定し、不足していれば補充することで精液所見の改善が期待されます。
ビタミンDは脂溶性のビタミンの一つで、植物由来のビタミンD2と動物由来のビタミンD3がありますが、
ヒトではビタミンD3が、活性型ビタミンDとして働いています。
主な役割は腸からのカルシウムの吸収を促進し、吸収されたカルシウムを骨へ沈着させ、骨の成長や健康に深く関与しています。
また、血中のカルシウム濃度を調節する働きもあり、骨への影響の他に、
免疫やがん予防、生殖への影響といった多彩な働きをすることがわかってきました。
ビタミンDは、紫外線を浴びることにより体内で合成されます。
週に2回、5~30分は日光を浴びることが推奨されています。
また、食品では、魚類(かつお・まぐろ・あんこう、鮭)、キノコ(きくらげ・しいたけ)などに豊富です。
また、ビタミンDについては、過剰摂取すると、体調不良(悪心嘔吐、食欲不振)、内蔵へのカルシウム沈着・石灰化の原因となることがありますので注意が必要です。