子宮内膜症は、女性の多くに見られる疾患の一つであり、
不妊症との関係も非常に深い疾患です。
子宮内膜症については様々に研究がされ、不妊症との関係だけでなく、月経痛や性交痛、排便痛にもつながりますし、
卵巣嚢腫ががん化することも考えられます。
また、以下でも紹介していますが、症状によっては、女性の妊娠する力の減少にもつながります。
今回は、海外の研究をもとにどれくらいの頻度で発症しうるのかを紹介したいと思います。
子宮内膜症はどれくらいの割合で発症するのか?
BJOG. 2018 Jan;125(1):55-62
イスラエルで行われた研究で15歳から55歳の合計200万人を対象に行われた大規模な研究です。
Maccabi Healthcare Services(MHS)というコンピュータ化されたデータベースが用いられ、
これを後方視的に解析したものです。(イスラエルの人口の25%相当)
それによると、子宮内膜症の発生頻度は、
10.8 / 1000=1.8%(平均年齢40.4)
であり、
40-44歳の女性が1000人当たり18.6人(1.86%)
の最も高い罹患率を示しています。
なお、不妊症患者における子宮内膜症の発生頻度は、
37%
であったとのことです。
本来子宮内膜症の確定的な診断には、腹腔鏡の診察が必要ですが、
この研究ではどのような方法で診断が確定されたかは記載がありませんので、
その点には注意が必要です。
様々な見方ができますが、最も高い発症年齢が40-44歳ということで、
こうした年齢から初めて不妊治療を始めるという場合には、子宮内膜症の治療と生殖医療を並行的に進める可能性も考えられます。
また、過去の研究では、子宮内膜症を有する方はそうでない方に比べて流産率が高いなどのデータもあります。
一方で、子宮内膜症には月経困難症が伴う場合も多く、これらを早く治療するためには、
少しでも自覚症状がある場合、妊娠の希望の有無にかかわらず、一日でも早く早く婦人科で相談いただき、治療を行うことが重要です。
子宮内膜症は、簡単に言えば、月経のたびに悪くなる疾患であるため、
治療以外に予防方法があるとすれば、妊娠か閉経と考えられます。
子宮内膜症が疑われる場合には、病状に応じて早期の妊娠を提案する場合もあります。
非常に多くの方が子宮内膜症あるいはその予備軍といわれています。
原因不明性不妊の方や月経困難症の方などは、その可能性が高いと予想されますので、
一度相談されてみるのもよいと思います。