通常、体外受精を行う場合、男性側の問題がなければ、
スプリット法(半数は通常の精子を振りかける形の体外受精、半分は顕微授精)を行います。
その場合の受精率は7-80%と言われています。
しかし、中には顕微授精を行っても受精に至らないという場合があります。
この状態を受精障害と考えますが、受精障害に対しての一つの対策が卵子活性化です。
この方法は、通常の体外受精などに比べて、より侵襲度が高いと考えられるため、
受精し、妊娠・出産したそのあとも継続的にフォローすることで、
卵子活性化による副作用や先天異常の増加など、その安全性を確認する必要があります。
卵子活性化によって生まれた子どもの安全性について
卵子活性化と受精障害については以下から確認ください。
今回は、海外における研究で卵子活性化によって産まれた子のフォローアップを通じて、その安全性を検証したという内容を紹介したいと思います。
Mateizel I et al J Assist Reprod Genet. 2018 Feb 1
対象:237周期の治療による74の妊娠、その後、47人の子供(31人の単胎児と16人の双胎児)
調査内容:重篤な先天異常、その発生確率や内容について
結果:重篤な先天異常として、双子において3人の子供が重大な奇形であると診断され、軽度の先天異常はが7人の単胎児と1人の双胎児に見られた。
この内容と結果から考えると、通常の先天異常率と大きな差はなく、
卵子活性化によって、先天異常が増えたり、奇形が増えるということは考えにくいと思われるが、
症例数が少ない点には注意が必要です。
当院でも、常に児のフォローアップには力を入れ、新しい技術であっても事前の有効性の確認と、
その後のフォローアップによって、安全性を確認しています。
そうした結果の積み重ねによって、現在多くの方々がART(生殖補助医療)を安心してお受けいただけます。
治療を行われる患者さんにはぜひこれから先の方々のためにも、フォローアップにご協力いただければと思います。