年々注目度の高まっているビタミンD。
検査をしてみると、非常に頻繁にビタミンD不足であることがわかります。
現在考えられている要因としては、食生活の変化によって摂取量が減少しており、
生活習慣上日光を浴びることが極端に少ないため、体内で合成されない。
ということが考えられています。
一方で、ビタミンDの検査は血液検査でできるもので、
治療法はサプリメントの摂取ですから、非常に体への負担の少ないものです。
そのため、セルフケアも含めて、ビタミンDの治療はどんどん行われるべきと考えます。
ビタミンD不足を解消すると体外受精の成績が良くなる
ビタミンDと不妊の関係については、以下でも解説しています。
今回紹介する論文は、イギリスで行われた大規模なメタ解析です。
Vitamin D and assisted reproductive treatment outcome: a systematic review and meta-analysis.
Hum Reprod. 2018 Jan 1;33
この研究では、ビタミンDとART治療の関係性を調査し、公表している11研究(2700人の女性を含む)を解析しました。
出産率の違いについては、7つの論文(2026人の患者)で報告されており、
ビタミンD不足と比べ、ビタミンDが十分な方々は1.33倍高くなる
としています。
妊娠判定時陽性となる確率については、5つの論文(1700人の患者)で報告されており、
ビタミンD不足と比べ、ビタミンDが十分な方々は1.34倍高くなる
としています。
臨床的妊娠率については、
ビタミンD不足と比べ、ビタミンDが十分な方々は1.46倍高くなる
としています。
流産率については両群に差を認めなかったということです。
これらのデータからは、ビタミンDが生殖において非常に重要な役割を果たしている
可能性が示唆されます。
非常に大規模な解析を行ってはいますが、治療効果を検証するという意味では、
やはり前方視研究が必要と思います。
実際に、これだけビタミンDが良いと知られ、一般にも流通していると、
飲まないという方が少なく、なかなか研究を実施することが難しさを伴うようには思います。