最近とにかく話題のフローラ。
腸内フローラの文脈で語られることが多いかと思いますが、
当院でも子宮内細菌叢検査という名称で、子宮の中のフローラを確認し、
着床に適した環境づくりのための治療をしています。
今回は、この乳酸菌やフローラが、妊娠後そして出産した胎児へどのような影響があるか
ということについての最新論文を紹介したいと思います。
乳酸菌やフローラが胎児へ与える影響
これまで、このような研究は行われていたとしても小規模のものが多かったのですが、
今回は様々な研究や論文データを統合し、メタ解析を行いました。
(合計の対象者は150万人超にもなります)
PLoS Med. 2018 Feb 28;15(2):e1002507
この研究は、主に妊娠後期と授乳期の食生活が子供の免疫発達に与える影響について評価したものです。
19の介入試験からの証拠によれば、妊娠後期および授乳期の非病原性微生物(プロバイオティクス:乳酸菌やビフィズス菌)による
経口補給は湿疹のリスクを低下させる可能性があるとしています。
(リスク比0.78; 95%CI 0.68-0.90; I2 = 61%)
また、授乳期が長く続いたほうが、乳児の湿疹やⅠ型糖尿病発症のリスクは下がるとされていますが、
この説についてのエビデンスは十分といえるほどではありません。
当院でも必要な患者様へ子宮内フローラの検査を行い、ラクトバチルス属が低く検出された患者さまには
ラクトフェリンのサプリメントを提供しています。
ラクトフェリンは食品の一種であり、母乳に含まれていると考えられています。
摂取することによる害は、現時点では報告されていません。
摂取するべき量は、妊娠前や妊娠後期、授乳期などで異なるにせよ、
常に腸内フローラやそもそも健康的な食生活が欠かせないことは言うまでもありません。