こんにちは、生殖心理カウンセラーの菅谷典恵です。
第7話となる今回は、カミングアウトのシーンがいくつかありました。
※前回分(第6話)は以下からも確認いただけます。
今まで言えなかった本当のことや事情を説明するといったカミングアウトの機会は、一つの転機になりますね。
打ち明ける立場としての心理は、
「肯定してほしい。わかってほしい」
ですし、
打ち明けられた立場の心理としては、
「自分を信頼してくれている。その想いに応えてあげたい」
となります。
もちろん例外があるところが人の心の難しい部分なのですが・・・
印象的だったシーンをいくつかピックアップしてみたいと思います。
①「商社を辞めて再就職先を探していたが、本当にやりたいことは勉強を教えるボランティアだとわかった。」
これは、コーポラティブハウスの4人家族のおうちのお父さんのセリフです。
奥さんに対しての発言ですね。
「一度きりの人生、後悔しながら生きていくのは嫌なんだ」
普段の様子から、良く言った!と感じますが、現実は現実として生きていかなければならないので、
理想と現実のバランスの取り方がこのお父さんの今後の課題となるでしょうね。
②「お母さん。僕はゲイなんだ」
息子のカミングアウトを受けて、自分のせいなのだろうかと気に病む母親に対し、
「ゲイは病気じゃないよ、原因なんてない。普通って何だろう?」
と言い切ったのも、良く言った!と感じました。
妊娠を望む状況も同じですね。
病気ではないし、原因がわからないことも多いです。
否定されるのはつらいですね。
③「どうしてお母さんと離婚したの?」
前妻が亡くなり、息子を引き取ったお父さんが、息子からお母さんと離婚した理由について聞かれましたね。
子どもであっても、本当のことと本当ではないことは敏感に感じ取ります。
相手が子どもであっても、真摯に説明すれば伝わることは多いです。
お父さんの再婚予定の女性も含めて、この3人のこの先の関係にとって
有意義な質問と答えだったのではないかと思います。
④「どうして子どもがこんなに欲しいのか分かった」
深田恭子さんが松山ケンイチさんと初めて会ったとき、
「僕の子どもを産んでください」
と言われたそうです。ちょっと面喰いそうな発言ですが、
「その時から家族を作りたいと思っていた」
「だから大変だけど治療を辞めたくない」
というところにつながるカミングアウトでした。
その前に、二人が珍しくけんかしているシーンもありましたね。
けんかもある意味カミングアウトですね。
我慢していた言葉が口からこぼれ出たりしますので、たまには良いのではと思います。
⑤「一人でカウンセリングに行っていた」
松山ケンイチさんが女性のマンションに出入りしていたところを目撃され、
浮気説がありましたが実はカウンセラーの所に行っていた、というオチでした。
「話しを聞いてもらうと、一時的に楽になるけど、逃げたらだめなんだな。二人で向き合わないと。」
松山ケンイチさんは言い切りました。
ここで、ちょっとカウンセラーの立場としてはもの申したいことがあります。
まず、このカウンセラーが臨床心理士の資格を持っていたとすると、
自宅で開業するということは原則的にありません。
これはクライエントとカウンセラーの関係性が複雑になるのを防ぐためです。
カウンセラーは自己開示しませんが、
自宅にクライエントを招き入れてしまっては、自己開示なしの原則と矛盾しますね。
また、カウンセリングを利用することは
「逃げている」
ということではないと思います。
臨床心理士がカウンセリングで松山ケンイチさんの話しをお聞きする「主訴」は、
「生理がくるたびに落ち込む妻を見ているのが辛い。何とか支えたい。
妻は我慢し、家の中の雰囲気が険悪になり、自分はどうしてよいかわからない」
といったことになると思います。
これに対し臨床心理士は、夫婦間の関係性を整理し、普段の険悪さの詳細を聞き、
妻を支えたいという夫の気持ちを実現できるよう援助します。
ドラマの中でも、ご夫婦でカウンセリングを利用してみていただきたかったですね。
このご時世、少し残念な気分になりました、と私もカミングアウト。
⑥「私、不妊治療してるんです」
最後に、深田恭子さんが職場のミーティングで言いました。
今までやる気がないと勘違いされたりしたこともあったので、思い切って言ってみました。
経営者と思われる方が、「応援するから言ってね」と言ってくださり、カミングアウトはひとまず成功しました。
みなさんに誤解される、ということは免れそうですね。
まだほかにも細かいカミングアウトがあるかもしれません。
同じドラマを観ても、人によって気になるところが異なるのも面白いですね。
そして、次回予告にはびっくりしましたが、今日放送される第8話の展開も期待したいです。