これまで何度か遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)に関するご紹介をしてきました。
最近では、コンソーシアムができたり、非常に意見交換や技術開発が活発にされている領域でもあります。
今回は、2013年に紹介されている論文で、BRCA1/2遺伝子変異を持つ方の早発閉経リスクについて紹介したいと思います。
BRCA1/2遺伝子変異があると、早発閉経のリスクはあがるのか?
今回紹介する論文は以下のものです。
Frequency of premature menopause in women who carry a BRCA1 or BRCA2 mutation.
Fertil Steril. 2013 May;99(6):1724-8.
この研究では、合計908名のBRCA1/2の遺伝子変異を持つ患者さんを対象に、
質問調査票を用いて、生理や妊娠についての調査を行いました。
比較対象となったのは、BRCA1/2の遺伝子変異を持たない方で同じく908名です。
除外対象としては、50歳未満で、乳がんや卵巣がんなどに罹患した方や、
手術などで閉経となった方は除外しています。
結果としては、
比較対象となった方々の平均閉経年齢が50.3歳であるのに対して、
BRCA1遺伝変異がある方は48.8歳、
BRCA遺伝子変異がある方は49.2歳
が平均平均年齢ということで、有意差が出たということです。
一方で、妊娠率については、両者間に差がなかったことが報告されています。
そのため、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の方々へのフォローとしては、
時間的にはがん治療を優先しつつも、遺伝要因や心理要因などを包括的に行う必要がありますし、
患者さんご本人に加え、パートナーやご両親、そして生まれてくる子どものことまでを視野に入れて
検討していく必要がますます出てくるものと考えます。