子宮頚管および子宮頚管粘液を検査した際に見られる不妊原因について解説します。
頸管粘液は、排卵日に合わせてその分泌量が増えます。
普段の子宮頚管内は、雑菌から子宮を守るために、酸性の状態を保っています。
しかし、精子は酸性の環境下では活動できません。
そのため、排卵日に合わせて、アルカリ性の性質を持つ頸管粘液の分泌量を増やし、子宮頚管内をアルカリ性に変えていきます。
これだけでもすごい神秘的なメカニズムですよね。
頸管粘液はおりものともいわれ、排卵日間近に、白っぽいおりもののようなものを見たことがある方もいるかもしれませんが、
それが頸管粘液です。
頸管粘液は、膣内に射精された精子をキャッチし、子宮内腔まで卵管までガイドしていくという非常に重要な役割を持っています。
この子宮頚管および頸管粘液に問題がある場合を頸管性不妊とも呼びます。
子宮頸管において起こりうる問題点
検査によってわかる子宮頸管における問題として起こりうることは
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頸管粘液の分泌不全
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子宮頚管の炎症が精子の進入を防いでしまう
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抗精子抗体があり、精子との相性が悪い
という要素が考えられます。
頸管粘液の分泌不全の原因と対策
頸管粘液の分泌が不十分であると場合、精子が子宮頚管を上り卵管までたどり着くことができずに不妊となります。
では、なぜ頸管粘液が少なくなってしまうのか。
原因として考えられるのは、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの低下です。
不妊治療を行っている人であれば注意が必要なのは、卵巣刺激を行っている場合です。
卵巣刺激の中のクロミフェン療法を選択している場合、副作用としてエストロゲンを抑制してしまう結果、
頸管粘液の分泌不全を引き起こす場合があります。
対策として、エストロゲンを薬などで補充することや、クロミフェン療法を行っている方は注射での刺激法へ変える等対策がありますが、
自身では診察が困難であるため、医師に相談するのが近道です。
頸管内の炎症の原因と対策:じつはあの病気が・・・
カップルにとってとても大切で深刻なテーマです。
頸管内に炎症が起こっている場合、精子の侵入を拒んでしまいます。
炎症がおこっている可能性の一つに感染症の影響が考えられます。
HPV(人パピローマウイルス)の感染、子宮内膜症などが挙げられますが、
非常に多いと指摘をされているのはクラミジア感染です。
治療法自体は、抗生物質の投与で簡単に済むものの、自覚症状がなく、
検査していいなかったが実は3年以上も前からクラミジアにかかっていて不妊であったというような報告もあり、
一説によれば不妊症で悩む方の2割に該当するということもいわれています。
そのため、不妊治療などを行う際には、はじめの検査段階でクラミジアに関する検査も行うことが一般的です。
いわゆる性病の一種であり、申告しにくいことかもしれませんが、非常に重要な内容であることはご理解ください。
抗精子抗体による要因
抗精子抗体というのは、なかなか聞きなれない言葉ですが、不妊に悩む3-5%程の方に該当者がいるとされるもので、
簡単に表現すると進入してきた精子を「侵入者」と判断して、排除してしまう抗体のことです。
妊娠、少なくとも受精するには、膣内に射精された精子が卵管を通過し、卵子と出会う必要があります。
その入り口で卵管まで届けようというサポートの役割を担うはずの頸管粘液が、誤って精子をサポートではなく、攻撃してしまうのです。
それでは当然妊娠にいたることはありません。
抗精子抗体検査というものによって、陽性かどうかの判断ができますが、
陽性の判断となった場合、自然妊娠を望むことはほとんどできず、体外受精以上のステップが推奨されることとなります。