セミナーやこのブログを通じてよくいただく質問の1つに、
「男性が今からでもできることって何がありますか?」
という質問がよくあります。
よくお伝えすることではありますが、重度の男性不妊症でない場合については、
とにかく健康であることが一番です。
健康であるためにしてはいけないことの1つが喫煙であることは間違いありません。
そのため喫煙者にとっての初めの不妊治療は禁煙です。
そして次にくるのは、とにかく健康的な食事を日々取ることだと思います。
今回はそうした男性不妊と食事の関係について紹介したいと思います。
男性不妊と食事 肥満の関係性について
男性と肥満の関係については、以前に
結果、一般男性全体と比べ、肥満者は1.66倍不妊になりやすく、
体外受精を実施する不妊男性では、生産率が35%低下、
流産や死産が10%増加していました。
と紹介しました。
詳細は以下から確認いただけます。
今回はあらたな論文で以下をご紹介します。
Serum Retinol, Folic Acid, and Copper Are Associated With Sperm Abnormalities in Men With Obesity.
J Am Coll Nutr. 2018 Jan 9:1-7. doi: 10.1080
この研究では、中度から高度の肥満男性30名と非肥満の10名(コントロール群)とを比較し、
ホルモンや血中の栄養素、具体的には亜鉛、銅、レチノール、α-トコフェロール、25-ヒドロキシビタミンD、コバラミンおよび葉酸などを調べました。
また精子の分析にあたってはWHOの基準値を用いました。
※男性不妊の検査については以下を参照
この結果として、
30人の男性のうち14人(47%)で精液検査基準を下回る結果となりました。
具体的には、運動性の低さ(33%)、次いで低濃度(27%)であり乏精子症であったことが確認されました。
この精液所見が悪かった男性と非肥満男性を比較すると、
葉酸が低く、エストラジオールおよび銅が高い結果が得られ、
精液量については、BMIや血中のエストラジオール値が高まるほど少なくなるという逆相関を認めました。
総精子数については、同じくBMIや血中のエストラジオール値と逆相関を示し、葉酸とレチノール(ビタミンA)と相関を認めました。
精子の運動率については、BMIや血中のエストラジオール値、銅と逆相関を認めました。
要約するとこの研究においては、肥満であることや葉酸の値が低いことが不妊と関係している可能性があり、
銅についても同様にその傾向が認められました。
銅は亜鉛と密接に関係しています。銅亜鉛検査についての詳細は以下から確認いただけます。
不妊であるかどうかを問わず、とにかく健康的な食生活を送ることが
これからの人生や生活をよりよくしていくことは間違いありません。