子宮鏡検査は子宮内の様々な診断のために行われます。
内膜ポリープや子宮奇形や子宮筋腫などのを発見することができますが、
詳細は以下から確認いただければと思います。
一方で、すべての検査ができるというわけではありません。
最近注目されている、慢性子宮内膜炎との関連性について、解説します。
子宮鏡検査によって、慢性子宮内膜炎は確認できるか?
先に結論から言えば、当院では慢性子宮内膜炎の検査は、
CD138免疫染色によって、行っており、子宮鏡検査では不十分であると考えています。
慢性子宮内膜炎については、以下からも確認いただけます。
以下の論文を紹介します。
この論文の概要は、後ろ向き研究(治療を実施して結果が出た後に集計し、解析する)
原因不明性不妊の患者95名に対して、慢性子宮内膜炎の検査を行い、
慢性子宮内膜炎の診断を受けた患者については、抗生剤による治療を行った後に、不妊治療を行った。
というものです。
これによると、
95名の原因不明性不妊の患者のうち、56.8%に慢性子宮内膜炎が確認された。
抗生剤の治療によって82.3%の方が治癒に至った。
さらにそれらの患者を3つのグループに分けて追跡的に、妊娠成績を集計しました。
① 慢性子宮内膜炎検査によって慢性子宮内膜炎と診断されたグループ
② ①のうち、抗生剤の治療をしても治癒しなかったグループ
③ 子宮鏡検査によって慢性子宮内膜炎ではないと診断されたグループ
に分けて比較したところ、
妊娠率については、
①76.3%
②20%
③9.5%
出産率については、
①65.6%
②6.6%
③4.8%
という結果であったということです。
この研究が示唆するところは、
・慢性子宮内膜炎が原因不明性不妊の患者にかなり一般的にみられるということ
・そしてそれは治癒可能である場合も非常に多く
・治癒した後の妊娠率は極めて高いこと
・さらに、子宮鏡検査のみで子宮内膜炎の診断が本当にできるか?という疑問
ではないかと思われます。
より多くの症例によって、今後も検証が必要とは思いますが、
当院でも慢性子宮内膜炎検査は別で実施をしています。
原因不明性不妊でお悩みの方はぜひ一度相談ください。