昨日は高輪院における体外受精説明会の開催日でした。
数年に一度といわれる厳しい寒さの中、多くの方々にお集まりいただき、
活発に意見交換がなされました。
ご紹介した内容を一部共有できればと思います。
①心理カウンセラーによる情報の整理
最近ドラマなどでも描かれていますが、治療を進めていく中で、
男女の考えにずれが生じていることは少なくありませんよね。
ここにはいくつかの要素がありますが、
・持っている情報の差
・根本的な考え方の差
・経過時間の感じ方の差
などがあるように思います。
その部分の認識のすり合わせは、ご夫婦にとって納得のいく意思決定を支援することにもつながるため、
いきなり治療技術の話ではなく、まずは心のセッティングをしようと生殖心理カウンセラーからお話しました。
②現在の生殖補助医療、当院の特徴について
1983年から体外受精に関わってきた京野の視点から、
現在のARTがどのようなステージまで来ているのか。
一方で、日本の妊娠率の低さは何ゆえか、そういったお話というよりも、
患者さんと一緒に考えたという感じだったと思います。
③質疑応答
質疑応答では様々な意見が今回も交わされました。
Q:出張がちな仕事の場合、スケジュールの調整はできるか
A:できます。もし急に入ってしまうようであれば、男性の精子を凍結保存しておくことが望ましいです。
Q:精子は凍結保存するとだめなのではないですか?
A:それは無精子症の場合、特に非閉塞性無精子症の場合には、精巣から精子を採取して取ってくる手術をしますが、
この場合、得られる精子の数が少なかったりということもあり、凍結によるダメージの影響度が高いのです。
男性不妊でない場合には、凍結精子を使用しても問題ありません。
(もちろん、射出精子をその場で使える選択肢があるのであれば、そちらを優先します)
Q:例えば、30歳で卵子を凍結し、40歳で受精させ移植させたとする。
この場合に卵子と母体の年齢が10歳ずれる事の問題はないか?
A:凍結による問題はないものと考えていただいてよいでしょう。凍結した卵子はやはり凍結時の年齢の質を保っていますので、
やはり妊娠成績もよくなります。
Q:AMHが低い場合、治療に悪影響はあるか?
A:AMHが表すのはあくまでも卵の数です。卵の質ではないことに注意が必要です。
実際に当院でも年齢からするとAMHがとても低い方や、1を切るような方も少なくありませんが、
その方でも十分妊娠されています。
ただ、AMHが卵子の数を表す、これは事実ですから、そうした情報を一緒に診ながら治療計画を立てていけばよいと思います。
Q:胚盤胞にならないと移植してもらえないのか
A:そんなことはありません。実際に今受精卵を育てる培養液は、卵管内の液と似せて作られていますが、
そのものにはまだ劣ると考えられています。
そのため、得られた受精卵が少ない場合などは、患者さんの希望によって、受精後2-3日目の胚を移植するということも行います。
基本的なプロトコールはありますが、患者さんのご希望に合わせた治療を考えていますので、
ご希望がある際にはぜひお伝えください。
④個別相談・培養室の機器の展示・自己注射指導
質疑応答の終了後は、個別相談や機器展示、認定看護師による自己注射指導が行われました。
展示された培養士が日々使用している機器の「小ささ」に驚く方も多くいらっしゃいました。
主に指導を受けるのは女性ですが、パートナーの男性も、
ご自分の奥様がどうしたことをする必要があるのか、
一緒になって学んでくださいました。
会の中で、京野からもお伝えしましたが、
夫婦でよく話し合い、治療をするにしても、しないにしても、
だらだらせず、できるだけ早く進めていく。
その先にも様々なライフステージがあるのだから。
という話がありました。
悩まれている皆さまにとって良い場となりましたら、幸いです。
来月は2月17日に開催しますので、ご参加ご希望の方は、ぜひご予約ください。