多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、排卵障害に多く見られる症状です。
卵胞が一定の大きさには育つものの、排卵されるのに十分な大きさにはならずにとどまってしまい、
結果として排卵されない疾患といわれます。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状
※多嚢胞・・・USGで一方の卵巣内に10mm以下の卵胞が12個以上ある状態
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の自覚症状はいくつかあり、主なものとしては
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月経周期が35日以上
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月経周期が現在不規則になっている
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ニキビや吹き出物が多い、やや毛深い、低音声などの男性化症状
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肥満(アジア人では実は2/3が「やせ」、1/3が肥満という事実もあります)
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月経過多や出血がとまらないなどの症状
といわれています。
では、なぜこのような症状は起こるのでしょうか。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は必ずしも明らかにはなっていませんが、
原因となるのは男性ホルモンの影響であるとされています。
自覚症状にある男性化はまさに男性ホルモンの影響によるものです。
男性ホルモンを高めてしまう要因は、黄体化ホルモン(LH)と血糖値を下げるインスリン(インシュリン)というホルモンの働きです。
それらが通常よりも高く、強く作用しているために、局所的に男性ホルモンが上がってしまいます。
そのため、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は生理中の血液検査で脳から出るゴナトロピンを図ると、
LHがFSHよりも高くなるという測定結果になることが多くあります。
こうした内分泌以上や糖代謝の以上によって、PCOSは引き起こされるといわれています
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療法
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療法は主なところでは
排卵誘発剤による治療が主たるもので、クロミッドによる排卵誘発に始まり、
クロミフェンに漢方を加えたりという内服薬療法と、
それでも結果が出ない場合には注射での排卵誘発を行いますが、
PCOSの方は治療の副作用として、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)という症状を起こしてしまうこともありますので、
治療計画は医師と相談の上、慎重に立てましょう。
また、最近ではこうした卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の方に向けた治療法として、
未成熟卵体外培養(IVM)という治療法も実施される施設があります。
この治療は卵巣刺激を行わない反面、培養士の技術によるものが大きく、
通常の体外受精等に比べて妊娠率がやや低い傾向があるため、
病院を選ぶ際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因には糖代謝も影響していると記載しました。
そのため、糖尿病の薬であるメトフォルミンなども排卵障害を改善する効果があるとされています。
糖尿病の薬というのは、血糖を下げ、インスリンの過剰分泌を抑えるために、
結果、卵巣内の男性ホルモンも抑えられて、ホルモンバランスが改善されます。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因はすべてが明らかになっているわけではありません。
体質的なものでもありますし、年齢と共に発症確率も高まるとされています。
排卵がうまくいかないという方や、AMHが高すぎるといわれた、というような方は、
一度担当されている医師に尋ねてみるのもよいかもしれません。