当院は開院当初から、不妊治療は夫婦一緒の治療と見定めて、
男性不妊への取り組みも積極的に行ってきました。
開院当初からのデータを改めて見返した時、
これまでの考えが確信に変わるような手ごたえを感じています。
高輪院の培養部にて発表した論文を元に、無精子症の治療のためのポイントを紹介したいと思います。
無精子症、だからこそ、夫婦での治療を!
高輪院の胚培養士、奥山を中心とした研究で、当院の無精子症の結果から、
最適な治療法について検討したものです。
無精子症についての基本的な内容は以下からご確認いただけます。
不妊症の原因は女性側と男性側で半々と言われており、
その中で男性不妊と診断された10~15%は無精子症であると報告されています。
無精子症の治療は、多くの場合、精巣内精子回収術によって精子を回収した後、
顕微受精を行い、治療を進めていきます。
無精子症やTESEの詳しい内容はこちらから確認いただけます。
この時の治療のパターンとして、
【新鮮な卵子の組み合わせと新鮮な精巣精子:グループ1】
・男性にTESEを実施し精子を採取したその日に女性が採卵をして顕微授精する
【新鮮な卵子の組み合わせと凍結した精巣精子:グループ2】
・男性にTESEを実施し採取精子を一度凍結。別日程で女性が採卵をした日に、精子を融解して顕微授精を行う
【凍結した卵子の組み合わせと新鮮な精巣精子:グループ3】
・男性にTESEを実施し精子を採取した日に、以前凍結しておいた卵子を融解し、顕微授精する
そうした組み合わせの中で、何が最適解になりうるかを検討しました。
グループ1の卵子も精巣精子も新鮮な状態で治療することが最も出産に繋がるという結果となりました。
(もちろん、一人一人のご状態に応じて、最適な治療を提案します)
当院ではTESEの手術をするときには、採卵を同日にすることで新鮮な状態の卵子と精子を受精させることを推奨しております。
また、時には卵子や精子の凍結もすることで状況に合わせた対応をしております。
その結果、現在までにTESEだけで出産数は200に上ります。
こうした治療成績の面だけでなく、ご夫婦でスクリーングなどの検査や治療をすることで情報を正確に把握できます。
当院では、男性も女性も診察できるドクターが勤務しています。
日本においてART施設は600以上存在していますが、
専門の泌尿器科医は50名程度と生殖医療における泌尿器医は少ないのが現状で、
卵子と精子が新鮮な状態で治療をすることは簡単なことではないのかもしれません。
最終的な治療まで見据えるのであれば、治療内容の最適解を提示することやそれにたどり着ける環境が必要であると考えます。