特に北欧の国々では、日本で言うマイナンバー制度が極めて充実していることもあり、
本人の健康状態の把握がしやすいと言われています。
今回は、精液検査から得られるデータを解析し、そこから健康状態や今後の病気の発生リスクなどが推測できないか、
ということについて紹介したいと思います。
精液・精子の質と寿命との関係
デンマークでの大規模な研究を紹介します。
43277名の精液検査を行った患者を対象に、1963年から2001年の期間において、
追跡的にその後病気の発症や寿命について実施したものです。
American Journal of Epidemiology, Volume 170, Issue 5, 1 September 2009, Pages 559–565
Good Semen Quality and Life Expectancy: A Cohort Study of 43,277 Men
この研究では様々な検討がされており、精子の質の状態と精巣がんの発症率が関連している可能性などが様々に示唆されています。
結論的な部分だけを要約すると、
良好な精液結果とその後の死亡率の低下に相関関係が見られた
というのが主な内容です。
具体的には、
死亡率は、精子濃度が増加して4,000万/ mLの閾値に達するにつれて減少し、
実際に、1000万/mL以下の男性に比べて、調査期間中に死亡率が40%低かったという結果も出ています。
その他、精子の運動率、精液量、などについても死亡率との検証がされ、
特に正常な精子の割合が高くなるほど、死亡率が低下するということも分かっています。
前提として、精液検査の結果は常に一定というわけではないので、一度の状態ですべてを判断するのは難しいです。
それでも、追加的な研究は必要ですが、精液検査の結果と健康状態の関係性はあるものと考えても良いと思われます。
また、同時に精液や精子の質が下がるということは、先天的なものを除けば、生活習慣などとの関係も深いと考えられます。
喫煙や飲酒、食生活などのライフスタイルについてみなおす機会になればと思います。