基礎知識

トランス脂肪酸と男性不妊の関係 トランス脂肪酸は精子に悪い

オメガ3脂肪酸について、いくつか紹介してきました。

参照:オメガ3脂肪酸はバランスが大切

参照:オメガ3脂肪酸が不妊治療に与える影響

 

今回は、脂肪酸の中でも特に健康被害の面で注意喚起されている

トランス脂肪酸と男性不妊の関係について紹介したいと思います。

 

トランス脂肪酸とは


通常、油は空気に触れると酸化し、加熱すると劣化しやすくなるものですが、

ここに水素を加えて加工を施すと、液体が半固形になり、加熱や酸化にも強くなります。

そうした過程を経て、マーガリンやショートニングがつくられており、それらを原材料に使った

パン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などにトランス脂肪酸が含まれています。

のですが、その際に出来てしまう副産物がトランス脂肪酸です。

 

その他、フライドポテト、冷凍食品など、加工食品やファストフード、あらゆるスナック菓子にも含まれており、

こうしたものの摂りすぎによる健康被害の報告が多く上げられています。

 

トランス脂肪酸と不妊 男性不妊


ハーバード大学の研究でも明らかになっているのは、

女性に関して言えば、トランス脂肪酸の摂取量が多ければ多いほど、卵巣の能力が低下し、

排卵障害になると言われています。

 

また、特に影響があると考えられているのが、男性不妊、精子との関係です。

Hum Reprod. 2014 Mar;29(3):429-40.

Trans fatty acid intake is inversely related to total sperm count in young healthy men.

スペインで発表された論文について紹介します。

この研究は、

18〜23歳の健常な大学生209名の精液を横断的に検証し、

食品摂取に関するアンケートを行い、精液検査の結果との関連性を解析したものです。

 

その結果、トランス脂肪酸の摂取量が増加するほど、

精子の量が少なくなること、精液量が低下する。

 

という不の相関関係があることがいわれています。

トランス脂肪酸が睾丸の働きを低下させ、精子の質が低下させられてしまうと考えられています。

 

トランス脂肪酸を摂らないようにするには


トランス脂肪酸は実は世界各国で、摂取量に厳しい規制がされており、

規制がない日本は珍しいと考えられます。

 

トランス脂肪酸は体外から取り込んでしまうものなので、

食生活を見直すことができれば、十分に改善が可能です。

 

①マーガリンを使用せず、バターやオリーブオイルに変える

以前も紹介しましたが、オリーブオイルはオメガ9脂肪酸というオレイン酸を豊富に含みます。

同じように油ということでも、トランス脂肪酸を摂取する量は減らすことができます。

 

②ショートニングや部分水素添加油脂といわれるものが含まれる加工食品をできるだけとらない

③スナック菓子はナッツやフルーツに変える

 

④ファストフードを摂る頻度を下げる

 

その他、牛乳を豆乳に変えたり、肉主体の生活を魚主体に変えたりと対策はたくさんあり、

こうした食生活の見直しで、十分改善することができると考えられています。

繰り返しになりますが、これは不妊でなくても継続したい生活習慣だと思います。

健康な食生活が妊娠への近道です。

 

妊活ノート編集部

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