子宮の内膜は月経周期に合わせて増殖し、やがて剥離していきます。
子宮内膜症はこの子宮内膜に似た組織が、子宮内膜以外のところできてしまうことを指します。
詳細は、以下からも確認いただけます。
最近では、子宮内膜症と不妊のみならず、流産との関係性が研究によって報告されていますので、
紹介したいと思います。
子宮内膜症と流産率の関係性について
Human Reproductionで紹介されている論文がいくつかあります。
子宮内膜症のある女性の方が子宮内膜症のない女性と比べて流産率が高い
Increased rate of spontaneous miscarriages in endometriosis-affected women
というタイトルで紹介された論文です。
子宮内膜症に罹患した女性における妊娠480回と対照における964回の妊娠の結果を比較検討したものです。
・流産率は子宮内膜症のある女性群の方が高い(29%[139/478]:19%[187/964])
・不妊症の既往がある女性群という条件を加えてみると、では53%:30%という解析結果になった
ということです。
あくまでも後方視的(出た結果を後から解析している)ため、因果関係は定かではありませんが
子宮内膜症があることで、受精や卵管内での卵や胚の移動、あるいは着床に対して、
何かしらかの負の影響を与える事は考えられます。
軽度の子宮内膜症が与える流産への影響
Fertility and Sterlityの最近の報告でも、子宮内膜症と流産の関係が報告されており、
この研究では、特に軽度の子宮内膜症と流産の関係性が着目されています。
この研究では、子宮内膜症と診断された患者(A群)と子宮内膜症の無い患者(B群)、
それぞれ年齢を合わせた143名ずつを対象に流産率について、集計・解析を行いました。
これによると、流産率については
A群:35.8%
B群:22.0%
という結果があり、サブグループとして不妊の方に絞ると
A群:50.0%
B群:25.8%
という結果になりました。
ちなみに、不妊症でない方の流産率は、
A群:24.5%
B群:21.5%
となっています。
また、ASRMの分類で、子宮内膜症の症状が軽度とされているグループと重度とされているグループを比較すると
軽度なグループ:42.1%
重度なグループ:30.8%
同じように、浅い位置(腹膜)の子宮内膜症と深部に浸潤している子宮内膜症を比較すると
浅い位置(腹膜):42.0%
深部に浸潤している:33.9%
という流産率が得られ、傾向として、軽度の子宮内膜症の方が流産率は高いということがわかっています。
軽度の子宮内膜症は、卵管などの局部での炎症が起こっていることが予想され、
そうした症状が妊娠に対して負の影響をあたえる可能性は十分に予想できます。
その他、子宮内膜症の治療方法については、以下からも確認いただけます。