以前、よくある質問へのお答えとして、
ということのついて書き、非常に多くの反響をいただきました。
今回は、この禁欲期間が体外受精以上の治療とどのような関係があるかについての研究を紹介したいと思います。
禁欲期間が体外受精の成績にも影響する?! 男性不妊の方は要注意
精液検査は、不妊検査において非常に重要な役割を持ちます。
不妊原因の半分は男性にあるといわれ、仮に無精子症であれば、女性にどのような異常が無くても、
体外受精の適応となります。
精液検査の重要性は様々に謳われているものの、様々な報告がなされています。
ある一説では、禁欲期間が一定あったほうが良いとするもの
ある一説では、禁欲期間が短い方が良いとするものなど、
いくつかの矛盾も発見されています。
現時点でわかっている点では、古くなった精子からは活性酸素が出ます。
これによって精子のDNA損傷率が高まることは広く知られています。
また、精子はためたほうがよくなるという考えも誤解と言えます。
詳細は上記の記事からも確認いただけますが、精液の量と精子の質は必ずしもリンクするものではありません。
男性の立場からすると、溜めて出したほうがよいのでは?と直感的に考えられる方もいらっしゃいますが、
多くの場合、それはあまり関係がないことが多いのです。
今回は、Fertility and Sterilityに掲載された論文で、
2011年から2015年の1030症例(体外受精、顕微授精)を対象とした後ろ向きコホート研究があります。
この研究では、禁欲期間の長さでグループ分けを行い、
禁欲期間:2-7日…Ⅰ群
└2-4日:Ⅰa群
└5-7日:Ⅰb群
禁欲期間:7日以上…Ⅱ群
ということで成績の比較を行いました。
その上で、着床率、妊娠率、出産率で比較を行ったところ、
妊娠率(Ⅰ群:Ⅱ群)=44.4%:32.7%
出生率(Ⅰ群:Ⅱ群)=34.1%:24.1%
と、Ⅰ群の方で高い成績が出たほか、
詳細に見ると、出生率ではⅠa群とⅡ群では、36.1%:24.1%という結果でした。
ここから考えられるのは、7日以上の禁欲期間は成績に悪影響を与えうること、
そして、禁欲期間は短い方がより良いこと、が考えられます。
特に乏精子症など男性不妊因子がある場合については、少しでも質を高めるために、
禁欲期間はより短い方が適切と考えられます。