こんにちは、生殖心理カウンセラーの菅谷典恵です。
前回はお二人で受診されることをお勧めした記事を書きましたが、
男性側に要因が見つかることもあります。
「問題なさそうですね」
「精子が少し少ないですね」
「精子の動きがちょっと良くないみたいですね」
「精子が見つかりませんね」
というようにいろいろなレベルの結果が出てきます。
精子が見つからないという方は、無精子症という診断を受けます。
割合としては100人に1人といわれ、結果に皆さま大変ショックを受けられます。
自分の存在意義がわからなくなった
生物学的に自分は生きていて良いのかと思った
など、振り返って語られることがありますが、
男性は心境を語らないことも多いかもしれません。
無理やりに話しをしてもらうことも良いこととは言えません。
その方なりの受け止め方があって当然だと思います。
無精子症の男性には、TESE(精巣内精子回収法)という手術があります。
精巣内で精子が作られていれば、精子を取り出してくることができる手術です。
無精子症には、閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症の2種類があります。
閉塞性無精子症は精子の通り道がふさがっていて出てこられないという状況なので、TESEを受けられるとほとんどの方で精子が見つかります。
非閉塞性無精子症も精巣から精子が回収できる可能性があります。
また、無精子症の男性の辛いところは、自分自身が傷つきながらも
パートナーの女性も気持ちも気遣わなくてはいけないことです。
TESEなどの手術によって精子を回収する場合は、
必然的に体外受精をせざるを得なくなるため女性の身体に負担が生じることになります。
そして手術の結果、精子が回収できないということもあります。
男性は、自分の中で無精子症ということへの折り合いをつけることが大変なのに、
パートナーのことを思いやらなくてはならない、
これからできる治療のことも調べなくてはいけない、
精子が見つからなかった場合のことも考えなくてはいけない。
今まで全く意識してこなかったことに、おふたりとも突然向き合わなくてはいけなくなります。
なかなか大変な心理状態におかれます。
当院では、TESEの前には皆さまにはカウンセリングにお越しいただいています。
手術のスケジュールやお仕事との兼ね合い、情報の整理、これから先の治療のスケジュール、
など現実的にも心理的にも準備を整えて手術の日を迎えていただきたいと考えています。
その後も情報提供を含め、フォローをさせていただくことができます。
無精子症かな、という状況でもぜひ当院を受診なさってみてください。