現在、子宮内フローラに非常に注目が集まっています。
諸外国では先行して研究も進んでおり、過去に論文内容については紹介しました。
また、同じフローラでは、膣内フローラが早産に与える影響についても
研究が進み論文発表されています。
この度当院でも実施する子宮内フローラについて簡単に紹介したいと思います。
子宮内フローラとはなにか?
現在、生殖補助医療の技術は日々成長を続けており、近年の成績では、生まれてくる子供の21人に1人は体外受精で誕生していると報告されています。
小学校のクラスで言えば、クラスの中に1人か2人はいるような状況です。これはすさまじい進歩だと感じています。
年齢による差はありますが、様々な技術の開発によって、胚移植あたりの妊娠率は40%から50%前後などともいわれるようになってきました。
一方、不成功原因については、未だ不明な点も多く、最近注目されているのが、
子宮内細菌叢(しきゅうないさいきんそう、子宮内フローラ)や子宮内膜受容能、子宮内膜炎などです。
子宮内細菌叢環境の乱れが、着床からその後の生児獲得に至るまで影響を与えているという報告がなされています。
子宮の中はこれまでは無菌と考えられていましたが、アメリカの研究で実はそうではないことがわかっています。
子宮の中にも善玉菌が存在していることを発見し、この菌の環境が乱れると体外受精の結果が悪くなることを発見した。
具体的には、子宮内フローラが乱れて雑菌が増えしまうと、
子宮内膜で免疫が活性化し、受精胚を異物として攻撃してしまう可能性があるということです。
この子宮内フローラを改善することでさらなる成功率の向上の一助となる可能性が秘められています。
どのような方に適応となるか
原則として自費の診療にもなることから当院では以下のような方々への適応と考えています。
45歳未満の女性で
京野アートクリニックで生殖補助医療(ART)を受けている方
というものです。
実際にこうした検査のご要望の多くは反復着床不全の方などから寄せられることが多いのですが、
当院のデータによると、反復着床不全の方だけでなく、
ARTへ進んでいる方の多くが子宮内フローラに何かしらかの異常を認めるという結果も出ています。
具体的な検査方法は
黄体期(黄体ホルモン投与日を0日として、5日目を目途)に
①専用のキットを用いて、膣壁から検体を採取します。
②同じく、専用の機器を用いて、子宮内から検体を採取します
③専用の保存容器にて保管します
④おおよそ、4週間後に検査結果が出ます
患者さんへの身体的な負担は少ないと考えられています。
検査結果によって異常となった場合には、抗生剤やサプリメントを投与し、
その後の環境変化を確認していきます。
この治療には大きな可能性が秘められている一方で、実施された数が少なく、確立された治療法はこれからです。
そうしたこともご理解いただきながら、話を聞いてみたいという方はいつでもお越しいただければと思います。
また、最新の研究内容も以下で紹介しています。