メタボリックシンドロームをはじめとした生活習慣病と不妊は関係があると考えられています。
不妊だからと特別な原因ばかりでなく、不健康な状態は授かりにくい状態と言えます。
今回は生活習慣病と男性不妊、特に勃起障害について解説します。
意外と多い勃起障害の患者数
日本国内の勃起障害(ED)の患者数は推定1,130万人と言われています。
40歳以上の男性の3人に1人が該当すると考えられますが、実際に治療を受けている方は少ないのが日本の特徴です。
勃起障害と生活集患には深い関係があります。
勃起障害にはいくつかの種類があり、機能性ED、器質性ED、それらが合わさった混合型のEDや薬剤によって引きこされるものなどがあります。
機能性EDとは
機能性EDとは、心因性勃起不全と言われるもので、30-40代では、この機能性EDが80%を占めます。
個人の何かしらかの心理的な要因によって、引き起こされると考えられており、
ストレス社会に生きる現代の男性にとっては思い当たる方も多いのではないでしょうか。
こうした機能性EDについては、単に薬剤の服用だけで治るということでもないため、
医師やカウンセラーとの診察や相談、パートナーとの理解を深めていく必要があります。
器質性EDとは
生活習慣と深いつながりがあるのは、器質性EDです。
器質性EDの原因として考えられているのは、
・高血圧、高血糖、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病
・骨盤内の臓器手術の後遺症
・加齢による陰茎の血管系の変化やアンドロゲンの低下
が考えられています。
勃起のメカニズム
勃起は陰茎の動脈が拡張して、陰茎の海綿体に血液が流れ込み、
陰茎静脈が収縮して血液が貯まることによって起こります。
つまり、この血管のどちらかにでも異常があればEDになり得るということです。
そのため、動脈硬化などの血液や血管に関わる生活習慣病はEDのリスク因子となりますし、
糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病が原因で動脈硬化が進むとともに、神経障害を伴う場合には、
さらにEDの発症リスクは高くなると考えられます。
性的刺激を受けた脳は、中枢神経・脊椎神経・末梢神経へとその信号を伝えていくため、
神経障害があればその信号が届かなくなってしまうのです。
生活習慣病によるEDリスクの増大
実際に、学会や海外の研究などでは、
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糖尿病患者さんの約80%
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高血圧患者の約67%
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高脂血症患者の約65%
がEDの症状を訴えているという報告がされています。
ED薬自体は医師の処方箋にて得る事ができるため、
器質性EDの治療はできるものも多くあります。
冒頭にも書きましたように、健康体であることと妊孕性は深いつながりがあります。
一度動脈硬化を起こした血管は戻らないともいわれます。
生活習慣病に留意し、健康な食生活や運動を心がけましょう。