卒業された患者さまからのお手紙を紹介しています。
今回は、長年一般不妊治療(タイミング法から人工授精まで)を繰り返し、
当院で初めての体外受精を実施し、妊娠・卒業されました。
同じ不妊治療とはいえ、やはり体外受精だからこその注射などの負担は
非常に大きいものだということを感じますし、だからこそ、ベストを尽くし、
良い結果が一日でも早く出るようにしなければいけないと、
強く思わせてくださる、そんなお手紙です。
(以下、原文ママ)
32歳で初めて不妊の検査を受け、仕事のスケジュールを調整しながら、
また、精神的・肉体的にも疲れたら休みながら、4-5年経過しました。
タイミング法や人工授精のくりかえしのその数年間は
今思えば何となく、あまり思い詰めないようにという主人の気遣いもあって、
ダメでも仕方ないなと過ぎていきました。
ですが、いざ、ついに体外受精を志した時はさすがにこたえました。
ちょうど仕事が忙しいのと重なったこともあって、毎朝の注射には涙も流しました。
痛みにではありません。
どうしてこんなことをしなきゃいけないの?
この気持ちを誰にも言えない
というネガティブな気持ちでした。
ある日、通院して看護師さんから注射薬の説明を受けました。
その方が
「大丈夫?」
と最後に確認されたとき、私はその言葉に途端に涙が溢れました。
説明内容についての事務的確認だったにもかかわらず、
私には労いの言葉に聞こえたのです。
主人以外の誰にも言えないのに、仕事も大変、少ない可能性にかけての注射・・・
風邪もひかずに健康なのに、どうして不妊によって自分を否定してしまうのか・・・?
「大丈夫?」の言葉によって、涙と共に心が解放され、少し落ち着きました。
他のスタッフの方もとても親切・的確で救われました。
そして初体外受精にして念願の妊娠となりました。
人それぞれのドラマがあります。
たとえ妊娠しなくても私の人生だと受け入れられるよう、
自分自身のこころを見つめていれば、素晴らしい人生の主役でいられるのではないかと思います。
(お手紙はここまで)
治療の回数や種類を問わず、不妊治療に臨むことは心理的なストレスをどうしても持つことが多いです。
そこに注射や通院が重なって、大きなストレスになっていくことも少なくありません。
治療がいきなり劇的に変わり、ストレスがなくなることは考えにくいものですが、
いつでもお話を聞きますので、スタッフまでお声がけください。
素敵なお手紙をありがとうございました。
ご卒業、おめでとうございます。