以前、多嚢胞性卵巣症候群については紹介しました。
今回はPCOSと「不妊予防」という観点で紹介したいと思います。
多嚢胞性卵巣症候群の特徴のおさらい
多嚢胞性卵巣症候群の特徴は、
・多嚢胞
・排卵障害
・男性ホルモン高値
が挙げられます。
こうした異なる徴候を持っているため、PCOSと診断される患者さんの病態は微妙に異なります。
そのため、上記の3つの徴候全てに有効な予防策を考えるということよりも、
その人のPCOSに深く関与している病態を見つけ、そこにアプローチしていくことが必要です。
PCOSは放置していると、卵巣の間質の増生、白膜の肥厚を助長していき、
時間の経過とともに排卵障害が重症化していくという可能性があります。
そうした観点から、「重症化を阻止する」という考え方が、PCOSの不妊症予防には必要です。
インスリン抵抗性や男性ホルモン過剰のPCOSの不妊予防
体重によるPCOSや不妊については以下でも紹介しています。
今回は、男性ホルモン過剰とインスリン抵抗性の関与が関連しているPCOSの不妊予防を紹介します。
インスリン抵抗性改善薬には、実は男性ホルモン低下作用を持つものが多く、
インスリン抵抗性改善薬を単独で投与して、排卵が回復することが知られています。
PCOSから来る不妊症状は主に排卵障害だと考えられていますので、
排卵が回復されることができれば、不妊予防につながっていると考えることができます。
インスリン抵抗性の診断基準として、HOMA-IRというものがあります。
HOMA-IRは
空腹時血糖×血中インスリン値/405として計算し、
HOMA-IR>2であったり、>2.5の場合にはインスリン抵抗性ありとして考えられます。
BMIが25以上の肥満型のおおよそ7-8割、BMIが22未満の非肥満型の3-4割に
インスリン抵抗性があるという報告が数多くされています。
主なインスリン抵抗性改善薬には、メトフォルミンなどがありますが、
薬の使用にあたっては医師による診断と説明が必要です。