卒業された患者さまからのお手紙を紹介しています。
今回のテーマは「正しい情報の大切さ」が一つポイントになっています。
一般的には高齢出産と判定されたり、不妊治療の領域で妊娠する力の低下が顕著になるのは、
35歳以降と言われています。
この認識も少しずつ広がってきました。
今回の患者さんは34歳。突然の体外受精宣告を受け止め切れずに当院へお越しくださいました。
(以下、原文ママ)
1年経っても妊娠しなかったため、ある不妊専門クリニックを受診しました。
初めの検査でAMHが0.92、実年齢の平均よりかなり低値であると分かり、すぐに体外受精をすすめられました。
タイミング法も人工授精も時間の無駄と言い放たれ、頭が真っ白になりました。
夫婦で話し合い、体外受精しか可能性がないのであればやってみようと決意しましたが、
別の先生の見解も伺いたく、京野アートクリニックを受診しました。
初診の際、院長より
「卵子の質は実年齢に比例するので、タイミング法や人工授精で可能性がない訳ではない。
ただFSH*値が高いことからも卵子の数は少なくなってきているのでステップアップを急ぐ必要はある」
とお話いただきました。
とても分かりやすい説明と、不安感を煽ることのない優しい話し方に、
私も夫も、この先生、この病院を信じて治療を受けようと迷いなく決意できました。
タイミング法を4周期、FT手術をはさんで、人工授精を3回行うも結果が出ず、体外受精にステップアップしました。
いずれの段階でも、私達の意志でステップアップを決めさせていただけたのが有難かったです。
体外受精は、1回目の採卵で取れたのが片方の卵巣から2個のみ、うち1個だけが正常受精、この1つで妊娠、出産に至りました。
まさか1回の体外受精で妊娠できるとは思ってもいなかったため、
院長から「良い結果がでていますよ」と仰っていただいた時は信じられない思いで、
その後も安定期に入るまでは毎日心配ばかりしていました。
しかし、妊娠・出産において大きなトラブルもなく、無事元気な男の子を出産し、今に至ります。
先月1歳になった息子も健康そのもので、元気いっぱいです。
初めの病院でAMHの低値が分かった時は本当に辛かったですが、
京野アートクリニックに出会い、院長をはじめ先生方、スタッフの皆様のお陰で、
今は家族3人とても幸せな日々を過ごしております。
本当に有難うございました。
(お手紙はここまで)
不妊治療の情報はとても専門的であるため、理解が難しいものも少なくありません。
今回のケースでいうと、AMHがやや独り歩きした感も否めません。
AMHの値の高低は、残された卵子の数を反映します。
それが低いということは、もちろん少し急ぐ必要はありますが、
何も体外受精でなければいけないわけではないです。
確率的にはもちろん体外受精は成功確率が高くなりますが、
あくまでもご夫婦の意思が大切です。
その意思の前提には、正しい知識が欠かせません。
不妊治療を考えるときには、正しい知識を持つことが第一歩であることが
もっともっと広がっていくことを願います。
素敵なお手紙をありがとうございました!