以前、やせと不妊については解説しました。
今回は神経性食欲不振症という摂食調節異常について解説します。
神経性食欲不振症とは
神経性食欲不振症とは、精神的な原因で食欲不振によってやせ、
その影響で内分泌以上、代謝異常を起こしてしまいます。
神経性食欲不振症にかかる患者は90%が女性です。
そしてほとんどが30歳以前に発症しています。
神経性食欲不振症の原因の一つにストレスとダイエットが関係していると考えられています。
神経性食欲不振症とストレスの関係
ストレスにはいくつかの分類があると考えられています。
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家族のストレス:家庭内不和、姉妹葛藤など
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社会のストレス:一人暮らし、海外生活など
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教育のストレス;受験、対人関係、いじめなど
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職場のストレス:職場の不満、対人関係など
ダイエットのきっかけは様々で、
本人の意思によるもの、友人との競争や恋人からの指摘など多岐にわたりますが、
一部のケースでは、神経性食欲不振症の発症に先行して、
一過性の体重増加があるケースが25%ほどあるのだと言われています。
神経性食欲不振症の診断と健康被害
厚生労働省の基準によると、
神経性食欲不振症の診断がされるケースとして考えられているのは
・標準体重のー20%以上のやせ
・食行動の異常(不食、大食、隠れ食いなど)
・体重や体形に関するゆがんだ認識(体重増加に対しての極端な恐怖など)
・発症年齢:30歳以下
・無月経
・やせの原因と考えられる疾患がない
というものです
神経性食欲不振症による健康被害としては、
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体重減少
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月経異常、
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低血糖、低血圧、低体温
などがあるほか、
皮膚の乾燥や繰り返して自分自身で嘔吐を誘発してしまうことからくる指だこ、虫歯などが出るようになります。
精神的な症状としては、不安や抑うつ、ひきこもりなどが起こります。
検査している中では、貧血や低たんぱく血症なども見られます。
不妊治療などでよく出てくるホルモンでは、
LH、FSHの低値とGnRH負荷に対するLHの分泌反応の異常が特徴です。
治療の目標としては、ふつうの社会生活を送ることができる体重、栄養状態、心理的状態を取り戻すことです。
症状によっては、入院が推奨される場合もあります。
海外ではやせに対する美学は後退していますが、日本やアジアではまだまだ根強いものがあります。
不妊であるないにかかわらず、「健康的」でいることが何よりも肝心です。