卵子活性化について紹介します。
当院では2種類の卵子活性化を行っており、受精率の向上を目指しています。
通常、体外受精でも難しければ顕微授精という位置づけであることが多く、
それでもダメなら?と聞かれると、・・・・・となることも少なくないと思います。
また、重度の男性不妊で、精巣から精子を取り出す場合などは、チャンスも限られているため、
出来る限り受精率を高めたいところです。
そうした際に活用される補助技術の1つが卵子活性化というものです。
受精障害とは
卵子活性化の前に、受精障害について解説します。
顕微受精をすると、概ね受精率は70%と言われていますが、
なぜか受精しないという場合があります。
これを受精障害と言います。
受精障害といっても、原因は様々でわかっていないことも多くあります。
卵子の側の問題もあれば、精子の側の問題もあります。
受精のプロセスは、精子が透明帯を通過して、卵子の細胞膜にくっつきます
精子から卵子を活性化させる物質が出され、卵細胞質内の小胞体からカルシウムが放出されます
カルシウムは卵細胞質内を波状に伝播していく(これをカルシウムオシレーションと言う)
というように進んでいき、このカルシウムオシレーションは一定時間続きます。
その間に減数分裂再開、第2極体放出などのステップが進んでいくことになります。
精子側の活性化の因子が不足しているために、顕微授精をしても受精しないということが起こり得ます。
これを卵子活性化因子障害とも言います。
卵子活性化とは
卵子活性化とは、卵子活性が不十分である際に、
外部から薬剤などを使用し、卵子の活性化をサポートするというもので、
顕微受精を行う際の補助技術の1つと位置付けられています。
上記のような場合もあれば、重度の男性不妊の場合にも適応となることがあります。
一般的に知られているのは「カルシウムイオノフォア」という薬剤を
培養液に一時的に添加し培養する方法ですが、当院では塩化ストロンチウムも使用しております。
また、最近になり、大規模な研究結果が報告されています。
S Murugesu et al. Fertil Steril 108 (3), 468-482.e3. 9 2017
要約すると、
この論文では、卵子活性化に関する論文を14個選択し、解析したものです。
端子活性化により受精率、分割率、妊娠率が高まったということを証明しています。
顕微受精でうまくいかないという時には、ぜひご検討ください。