卵子が数に限りがあることは知られています。
つまり、残されている量によって、妊娠できる可能性の一部を推し量ることが可能といえます。
AMHとは、アンチミュラーリアンホルモン(抗ミュラー管ホルモン)の略称です。
卵巣年齢や卵子の質を図る検査であるとして注目を集めた検査方法のひとつです。
卵巣と精巣の違いにも記載されているように、卵子の数というのは増えることがなく、
卵子が作られなくなれば、妊娠する可能性はなくなってしまいます。
超音波検査では、育った卵胞(卵子ではありません)をエコーで確認することができますが、
このAMHで測定するのは、まだ卵胞に育っていない、超音波では見ることができないような小さな細胞(原子卵胞)から発せられるホルモンを検知して、
残りの卵子の数を図ろうとするもので、ここでいう卵子の数が、卵巣予備能として扱われることが多くあります。
よくある誤解 ①AMH=妊娠率
卵子の質が低ければ、妊娠する確率が下がるという文脈で語られることが多かったためか、
AMHが低いから妊娠できないという風に考える方が多くいらっしゃいます。
しかし、AMHというのはあくまでも卵子の数を指すものでしかないのであって、
妊娠率とは相関関係がありません。
AMHがゼロに近い値でも妊娠に至る方はいるため、大切なのは自身の特性を知ることです。
また、この図のように、AMHは個人差がとても大きいのです。
卵子の数だけでいえば、実年齢よりも高い、低いが存在することになります。
繰り返しますが、卵子の質、例えば染色体異常の発生率などとは相関はありません。
よくある誤解 ②AMHが高い=安心 は嘘?!
AMHが高いから安心と思われる方も多くいらっしゃいますが、
注意が必要であることは認識しないといけません。
AMH値が高すぎる場合には、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)が疑われる場合があります。
多嚢胞性卵巣症候群(別名PCOS)は簡単に言うと、小さな卵胞がたくさんできすぎていて卵胞がうまく育たない方で、
卵巣刺激を行う際には、排卵誘発に大きく反応して複数の卵胞が育ちすぎてしまうという副作用に陥ることがあります
(卵巣過剰刺激症候群 OHSS といいます)
そのため、ドクターによく相談したうえで、AMHが高く、原子卵胞が多くあることを活かし、治療計画をどう立てるのかが大切です。