よくいただく質問で、
「パートナーがタバコをやめてくれない」
というものがあります。
基本的なことは上記から確認ください。
極端な物言いのようですが、お子様を授かりたい方にとっては、
「禁煙=不妊治療」
とも言えます。
これができないと先に進めないとさえ言われるほど、多くの悪い影響があります。
喫煙は確実に生殖機能を低下させる
様々なことが言われていますが、間違いのない事実として、
喫煙は確実に生殖機能を低下させるということです。
喫煙が肺癌によくないというのはほとんどの方が認識をしていると思いますが、
不妊、流産、早発閉経との関係については、思いのほか認識されていません。
しかし、統計的には実際喫煙をすることで1-4年閉経期間が短くなることがわかっています。
流産率が高まる、子宮外妊娠の確率が高まるなど、マイナスのデータがたくさんあります。
とりわけ女性の妊孕性(妊娠する力)は一度失うと一切戻ることがないため、
これは非常に大きな影響です。
実際にマウスを用いた研究では、マウスをタバコに暴露した環境では、
受精の遅延が起こり、胚盤胞到達率が低下するなどの報告がされています。
男性にも深刻な影響があり、喫煙によって精子濃度を13-15%減少、運動率を10-17%減少、奇形率を13%増加しますし、
精液中の白血球を増加させ、活性酸素を増加させます。その結果、DNAへのダメージが増加しますが、
精子にはそのダメージを修復する力はないので、一度ダメージを受けた遺伝子はもとには戻りません。
このように卵子にも精子にも、もちろん母体にも、産まれてくる赤ちゃんにも悪影響を与えるのがタバコです。
確かに世の中には喫煙しながらでもお子様を授かる方もいらっしゃいます。
禁煙したからといって、確実に授かるとは言えませんし、妊娠する確率として数%の差なのかもしれません。
しかし、その数%を追い求めて、患者さまもクリニックのスタッフも協力して進めていきます。
不妊治療は体力的にも、精神的にも、経済的にも負担の大きな治療で、
途中であきらめてしまう方も少なくありません。
現在喫煙をしている方は、まずは禁煙という不妊治療から始めていただき、
それが継続できるか、というのも治療を始める上での試金石になるかもしれませんね。
いずれにしても、タバコは百害あって一利なし。と断言することが出来ます。