男性不妊の方で「造精機能」に問題があるとされているのは、おおよそ80%とされています。
原因不明のものが半数以上になりますが、原因がわかっているものの中で最も多いのが「精索静脈瘤」です。
男性不妊の約40%が該当者とされる精索静脈瘤とは
「乏精子症・精子運動率低下」の約40%は精索静脈瘤が原因で、二人目不妊の78%は精索静脈瘤が原因と言われています。
精巣の機能としての最大のポイントは「温度管理」です。
女性のようにお腹の中ではなくわざわざ危険の多い体外に出してあるのは、
体温よりも低い温度に保つ必要があり、この温度を管理するために血が流れていくわけですが、
静脈瘤ができてしまうことで、めぐりが悪くなり温度が上昇してしまい、
結果として造精機能が低下するというものです。
精索静脈瘤はほぼ左側にのみできるともいわれています。
詳細を説明すると非常に難しくなりますが、左側の静脈が通る道には、腎臓があるなど複雑な構造をしていることに起因しています。
現在では手術法も確立されており、日帰りで行えるようになってきているため、
生殖医療専門医かつ泌尿器科医のいるところにいっての受診がおすすめされます。
ただし、医療機関によって精索静脈瘤の手術方法が異なるため、心配な方は事前に問い合わせしてみるとよいでしょう。
セルフチェック:精索静脈瘤の自己診断
ここでは自分でできる簡単なチェック法を紹介します。
①左右差はないか
左右差があり、左が小さい場合は左精索静脈瘤が疑われます。
②精巣のサイズは小さくないか
精巣前面をできるだけ陰のう皮膚に押しつけて、精巣の輪郭を際立たせ、精巣サイズを測定します。
14ml以上が正常で、12ml以下が小さいとされていますが、容積の測定は、
自宅で測る場合は、定規で縦(長い方)と横(短い方)を測定、容積(ml)=0.7×縦(cm)×横(cm)×横(cm)でおおよその容積を予測できます(横=幅と仮定)。
たとえば、縦4.5cm、横2.5cmとすると容積は 0.7×4.5×2.5×2.5=20mlとなります。
③垂れ下がっていないか
陰のうは寒い時には収縮し、温かい時には垂れさがり、温度調節を行っています。
冬にお風呂に入る前と後での陰嚢の変化が記憶にある人もいるのではないでしょうか。
常に陰のうが垂れ下がっている場合は、陰のうの温度が常に高いことが考えられます。その原因は精索静脈瘤による可能性があります。
④表面の状態
陰のう側面の皮膚表面がでこぼこしている(袋のなかに虫がいるように見える、袋の中にうどんのようなものが入っている)などは、精索静脈瘤が疑われます。
まとめると、
- 精巣サイズに左右差がある
- 陰のうサイズに左右差がある
- 陰のうが常に垂れ下がっている
- 陰のう表面がでこぼこしている
- 陰のう内に虫がいるように見える
- 陰のう内にうどんようなものがある
特にどちらかといえば、左側に異常がある場合は注意が必要です。