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第20回日本IVF学会学術集会 森本賞受賞

先日、仙台にて日本IVF学会学術集会が開催されました。

第20回日本IVF学会学術集会の詳細はこちらから確認ください。

http://20th.ivf-et.net/

 

多くの参加者が集まる中、当院の培養部の菊地寿美が最優秀賞(森本賞)を受賞いたしました!!

 

内容について簡単にご紹介させていただきます。

胚凍結融解が児の身体発育に及ぼす影響について


体外受精が日本で初めて行われて、おおよそ35年が過ぎようとしています。

 

先日、ニュースなどでも取り上げられましたが、

今や新たに生まれるお子さんの約19人に1人がART(生殖補助医療=体外受精、顕微授精や凍結融解胚移植)で生まれているという時代であり、

生殖補助医療の発展には目を見張るものがあります。

 

とりわけ、現在の主流であり出生児のおおよそ7割近くは凍結融解胚移植で生まれてくるわけですが、

今後一層大切になってくるのは、産まれたその後も含めた安全性ではないかと思います。

今回はその安全性をテーマに研究し発表いたしました。

 

当院では児のフォローアップを1995年から実施し続けています。

その中で得られたデータをもとに、

  • 媒性方法(≒受精方法・・・顕微授精か通常の体外受精か)
  • 胚凍結の有無(新鮮胚移植か凍結融解胚移植か)

を調査し、検証いたしました。

対象

1996年から2016年の間にART(生殖補助医療)にて単体児をして出生した3223名

└A群 通常の体外受精で凍結なし

└B群 通常の体外受精で凍結あり

└C群 顕微授精で凍結なし

└D群 顕微授精で凍結あり

 

 

検討した結果は以下のようになりました。

 

通常の体外受精 凍結なし(A群) 凍結あり(B群) 有意差
平均在胎週数 38.6±2.4週 39.1±2.1週 あり
出生児体重 2,919ℊ 3,102ℊ あり
出生時身長 48.5cm 49.1cm あり
低出生児率 16.2% 6.5% あり
巨大児率 0.3% 1.1% なし
先天異常率 3.3% 3.1% なし

 

 

その後の調査を見ていくと、生後3か月には体重と身長は差がなくなりました

 

顕微受精 凍結なし 凍結あり 有意差
平均在胎週数 39.0±1.9週 39.2±2.2週 あり
出生児体重 2,963ℊ 3,083ℊ あり
出生時身長 48.8cm 49.4cm なし
低出生児率 12.4% 8.4% あり
巨大児率 0.6% 1.1% なし
先天異常率 3.4% 2.7% なし

 

その後の体重の差は生後6か月で差はなくなりました。

結論

通常の体外受精、顕微授精ともに胚凍結融解によって、出生児体重が重くなり、

低出生体重児率が低下する可能性が示唆されたが、その後、通常の体外受精では3か月後、

顕微受精では6か月後には差がなくなり、身体発育は追いつくものと考えられました。

先天異常率についても凍結の有無による差は認められなかったため、

胚凍結融解は先天異常に影響を及ぼさないと考えられます。

 

受賞者のコメント

このような賞を頂き大変光栄です。これからも一層、患者さまが安心して治療を受けられるように励んでまいります。

 

 

またこの場を借りて、当院にて治療、卒業されアンケートへご協力いただいております

皆さまへ御礼申し上げます。

 

これからも患者さま中心の医療をモットーに、Quality高く、安心安全な医療を提供して参ります。

妊活ノート編集部

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