卒業された患者さまからのお手紙を紹介しています。
不妊治療にとって、いかに時間が尊いかをとても教えられるお手紙です。
(以下原文ママ)
私が結婚したのは38歳と晩婚でした。
40歳までに出産したいと思っていたところ、すぐに妊娠したのですが、流産しました。
その後、まもなく39歳となり
「一度妊娠したのだからまたすぐにできるだろう。1年あるから大丈夫。」
と思っていましたが、なかなか妊娠できず、不妊治療の経験がある友人に相談したところ、
「卵子は老化していくし、治療するなら一日でも早い方が良いよ。お金なら何とかなる」
というアドバイスをいただき、京野アートクリニックの受診を決めました。
当時初診の予約はとても混んでおり、受診できたのは予約を入れてから4か月後。
その間に私は一つ年をとり、40歳からの治療開始となりました。
それからは、はじめに受けた卵管造影検査で、卵管閉塞が見つかりFTを受け、
人工授精に挑戦。生理が来るたびにがっかりすること3回。
そして4回目の人工授精数日前にインフルエンザにかかり、泣く泣くキャンセル。
自分の年齢を考え、1ヵ月という期間がおても貴重で無駄にしたくない思いでいっぱいだった私は、
それから体外受精(顕微授精)にステップアップしました。
採卵が痛いのではないかと思い、ドキドキしていました、全くそんなことはなく無事に終えました。
そして、採卵周期の新鮮胚移植はだめでしたが、次の周期の凍結胚移植にて妊娠することができ、
41歳で無事に出産することができました。
京野アートクリニックに通院していた頃、妊娠された皆さんの体験談に勇気づけられていました。
特に、私と同じ40歳を過ぎてから妊娠された体験談を探して読んでいたころが昨日のことのように思い出されます。
そして、遠方から2時間かけて通院していたので、通院の日は帰りに近くのスタバでお茶して帰るのも楽しみにしていました。
今は、自分の身体の不調に「もう少し若かったら違ったのかな・・・」と思うこともありますが、
日々成長していく息子のいろいろな表情や行動に喜びを感じながら幸せな日々を送っています。
授かった命を大切に、責任をもって育てていきたいと思います。
京野アートクリニックの皆さまには大変お世話になり、ありがとうございました。
治療されているみなさんが、1日でも早くお子様を授かることができるお祈りしています。
(お手紙はここまで)
生理が来るたびに、それまでの想いや努力がリセットされてしまうという「喪失」感が、不妊治療にはあります。
そうした喪失感と向き合うために、当院でも看護師やアシスタント、認定カウンセラーがおります。
その上で、ご本人の意思を尊重しながら、なるべく短い期間で治療を卒業できるようにしたいと常々思っています。
1周期も無駄にせず、かつ安全なことを考えたうえで、多くの検査を一度にできる
術前のスクリーニング検査なども実施しています。
こちらに関しては、また今度解説したいと思います。
素敵なお手紙をありがとうございます。