最近となっては、不妊治療の施設でも導入が進んでいるタイムラプスモニタリングシステム(TLC)。
TLCを用いてできることなどを改めておさらいしたいと思います。
タイムラプスモニタリングシステム
タイムラプスは、医療の現場のみならず、スマートフォンのカメラアプリなどでも比較的最近は一般的になってきていますが、
インターバル動画、とも呼ばれるものです。
静止画を一定間隔で撮影し、それを繋ぎ合わせることで、動画を作ります。
生殖医療の現場で使用されるタイムラプスモニタリングシステムを、直訳すると、
①継続的に
上記のタイムラプスと共通の概念です
②閉鎖された環境で
通常は、受精卵を観察するには、インキュベータの中から取り出して、顕微鏡下で観察します。
その際に、インキュベータ内の環境が変わってしまうほか、受精卵にもストレスを与える可能性があります。
そのため、インキュベータ内の環境を変えずに「閉鎖したまま」の環境を維持します。
③受精卵を培養し
これはそのままの意味です。
④観察・評価するシステム
動画を用いて「経時的かつ形態学的な評価」を行う事
ということになります。
タイムラプスモニタリングシステムの必要性は、このように
・インキュベータの開閉を減らして培養環境を向上させること
・正常な分割時間によって良好胚を選択していく
ところに求められています。
通常、規則的に細胞が分割していくと、
1細胞→2細胞→4細胞→8細胞
という流れをとしますが、
1細胞→3細胞→5細胞→8細胞
という風な不規則な変化を起こしている場合、
たまたま8細胞のところで観察しているだけであれば、同じ8細胞という評価になり得ますが、
タイムラプスモニタリングシステムを使えば、より規則的に分割した胚の選択も可能になります。
こうした活用が臨床で進む中で、もちろん形態学的な評価だけでは万全とならないということも明らかになっていますし、
一方で形態学的な評価の精度を向上させるような新たな指標も出てきています。
いずれにしても、現時点では不妊治療の現場にとって、標準的なものとなっているタイムラプスモニタリングシステムですが、
当院のセミナーでは動画などもご紹介していますので、ご興味のある方はぜひお越しください。