AMH(Anti Mullerrian Hormone)の値は、様々なところで取り上げられ、
卵巣年齢というような言葉と結びつくことも少なくありません。
現在の最新情報から改めて、AMHの定義と注意点について解説したいと思います。
AMHの定義について
AMHは、採卵数と関係があるといわれている一方で、
そこから生まれる胚の質や妊娠率に対して与える影響については一定の見解が得られていませんでした。
過去のAMHについての記載は以下から確認ください。
先日の受精着床学会でも発表がありましたが、改めて検証したいと思います。
AMHの傾向
AMHは以下のグラフのように、大きく見ると年齢と共に下がりますが、
年齢によるばらつきがかなり多い指標です。
そして、日本産科婦人科学会でも公表していますが、妊娠率はこのばらつきほど大きく動かずに、
年齢に応じて低下していきます。
※図は高輪院の妊娠率です
そして、今回の学会報告でもありましたが、得られた結論としては、
AMHが高いほど採卵数が多く、結果として凍結できる胚凍結数も多い
妊娠率・流産率によって差はなく、むしろ年齢の影響を大きく受けている
という答えが再度得られました。
また、AMHは
前胞状卵胞(月経1~3日目に経膣超音波で見える、左右の卵巣内にある小さな卵胞)と
胞状卵胞(近く排卵を起こす可能性がある状態)の顆粒膜細胞から放出されます。
そのため、AMHのみでなく、細かな内診などで得られる情報を元に、卵巣刺激法を調節することによって得られる卵子の数も増減します。
要点を整理すると
①AMH値によって、得られる採卵数などの予測は立つ
②AMH値による妊娠率の影響はない
③AMH値のみならず、ホルモン値、超音波検査などを総合的に判断していく必要がある
非常に分かり易い検査であるが故に誤解もされやすいものですが、
検査を実施する際には、こうした点も整理しておく必要がありますね。