子宮内膜症で悩む方は、実は日本人女性の10人に1人といわれています。
月経困難症の方がおおよそ1000万人、子宮内膜症の患者は400万人程度ともいわれ、
月経困難症の方は子宮内膜症になるリスクが2.6倍高まるとも言われています。
そのため、不妊で悩まれる方の中にも、子宮内膜症の方というのは非常に多く、
子宮内膜症の治療が先か、不妊症の治療が先か
という質問が寄せられます。
どっちが先?子宮内膜症と不妊症の治療
どちらが先か、原則としてということでいうなら、子宮内膜症ということかもしれませんが、
症状や進行にもよるため、一概には決めることが出来ないのが実状かと思います。
子宮内膜症の治療自体が不妊治療と直結するところもあるため、子宮内膜症の治療方法を確認しましょう。
子宮内膜症の治療法には、薬物療法、手術療法、そして体外受精があります。
薬物療法
最も多く使用されるのは、Gn-RHアナログ療法です。
卵巣からのホルモン分泌を抑制し、月経を止める作用を持っています。つまり、閉経した状況を作るという事になります。
月経がなければ、出血がないので、子宮内膜症の溜まった血液は次第に吸収されていく、こうした流れです。
点鼻薬と注射の薬剤が使用されることが多いです。
一方で、妊娠した状況を作り、エストロゲンの分泌を止めるという方法もあります。
一般的にはルナベルなどの低用量ピルを用いたやり方、あるいは黄体補充を行う方法もあります。
手術療法
最近では多くの場合子宮内膜症の手術は腹腔鏡を用いて行われることが多くなりました。
お臍のところから挿入した腹腔鏡で見ながら癒着を剥離し、子宮内膜症の病巣を治療していく流れで行われます。
その他に、子宮全摘出などもありますが、あくまでも不妊治療をされている方にとっての治療方法ということで、
ここでは省略します。
体外受精
子宮内膜症が起こってしまうことで卵管の癒着やピックアップ障害などに発展し、妊娠しにくい状況となっている場合があります。
そうした時に、選択される方法として体外受精は非常に効果的と考えられます。
癒着している箇所をある意味では飛ばして、精子と卵子を受精させるという考え方であり、
治療方法自体の安全性も治療成績も確立されています。
子宮内膜症がある状態でよい影響があることはなく、大前提子宮内膜症の治療をすべきです。
ただ、子宮内膜症の進行状況、ご本人の年齢や不妊原因など様々な状況を加味して診断されるのが望ましいのではないかと思います。