不妊症とプロテインSについての関係性について解説します。
プロテイン?と首を傾げる方もいらっしゃるかもしれませんが、
実は不妊や不育の領域では、非常に重要な指標の1つです。
血を固めない働きを持つプロテインS
プロテインSは、血液の凝固(固まる)を防ぐ働きを持ちます。
そのため、プロテインSの数値が下がれば、血液が固まりやすくなりますので、
血栓症のリスクが高まるということになります。
ヒトの体の中では、基本的に一定の圧力・スピードの中で血液が巡っていますが、
こと子宮・胎盤に関しては全く環境が異なり、血液の流れるスピードが非常に遅く、
血液が固まりやすい環境にあります。
胎盤に血栓ができれば、流産あるいは死産のリスクが高まる可能性があります。
プロテインS欠乏症によるリスク
プロテインS欠乏症は欧米人よりも日本人に多く見られます。
プロテインSは妊娠するとおおよそ半分にまで低下することで知られており、
仮に妊娠前に100であれば、50まで下がることになります。
プロテインS欠乏症の定義としては、
妊娠前であれば、おおよそ60%未満をプロテインS欠乏とし、
妊娠中であれば、30%未満を同じように考えられています。
実際の研究では、プロテインS活性が60%未満で無治療でいた患者の流産率が
通常と比べて高かったなどの報告がされているほか、
妊娠合併症のハイリスクな症例との相関性が高いことが数多く報告されています。
一方で、治療方法としては低用量のアスピリン療法やヘパリンを用いた治療などで高い治療成功率が確認されているものでもあります。
そのため、最も怖いのは、プロテインS活性が低いということを知らない状態になってしまうことかもしれません。
授かりやすい体は産みやすい体とつながっていますので、
不安な方は一度検査を受けてみても良いと思います。