コラム

着床障害や子宮内膜に対する中医学や漢方の考え方

こんにちは。漢方外来担当薬剤師の住吉忍です。

 

今日は、着床障害に対する中医学の考え方について、ご紹介したいと思います。

 

繰り返し、いい受精卵を移植をしても、妊娠に繋がらない場合、患者さまの心にも大きな負担となるケースが多く、参考にしていただけましたら幸いです。

 

いい受精卵を移植しても、なかなか妊娠に繋がらない方は、着床障害が疑われます。

 

この着床障害は、子宮環境不全や、免疫性のものなど原因は多岐に渡り、

現在、西洋医学の分野でも、新しい検査方法や治療薬が取り入れられています。

 

中医学では、着床する力を左右する原因として、3つの要素を重視します。

 

①内膜の厚さ

②内膜の硬さ

③内膜の感受性

 

です。1つずつ説明しますね。

 

①内膜の厚さ

西洋医学でも、一番の基準となるのは、内膜の厚さです。

内膜の厚さに関しては、エコーで測る事ができ、排卵期には、10mm以上を目標に考えます。

 

エコーをしない場合は、内膜の厚さは、経血量、血液量、おりものと関係がありますので、

それらの状態を確認する事で予測をする事ができます。

 

内膜の厚さが十分でない方の体質は

・血虚(血が足りない)

・気血両虚(エネルギーと血の両方が足りない)

・腎陽虚(生食能力を司る腎の熱エネルギーが足りない)

・腎精の不足(生まれ持った妊孕力の不足)

 

などを抱えている事が多いので、このような体質を改善させる事で、内膜の厚みを増やしていく事ができます。

 

②内膜の硬さ

内膜の厚さは、エコーで見る事ができますが、硬さを推し量る事はできません。

中医学では、内膜が硬い状態にある時は、剥がれる時に痛みが出るため、生理痛が出やすいと考えます。

 

また、経血の色が暗褐色であり、血塊も出やすいです。

 

こちらの原因となる体質は

・瘀血(血の流れが悪い)

・血寒(血が冷えている)

・気血両虚による血瘀(気や血が不足して、血を流す事ができない)

 

などがあり、これらの体質改善を目指します。

 

③内膜の感受性

着床は、子宮に受精卵が根付く時に起きる炎症反応になります。

 

この炎症反応を、しっかりと起こせる内膜が、着床力のある内膜だと考えます。

 

炎症が起きにくい内膜の原因となる体質は

・瘀血(血流が悪い)

・腎陽虚(生殖能力を司る腎の熱エネルギーがない)

・腎精の不足(生まれ持った妊孕力の不足)

 

などがあり、同様に体質改善を目指します。

 

着床しやすい環境づくりにむけて


 

よく、「ふかふかな内膜」といわれますよね。

 

まさにそうした柔らかくて、感受性の高い内膜をつくることが大切ですね。

 

子宮はお腹の中にあり、たくさんの血管や血流に守られ、温められています。

そのため、こうした症状は、1つだけが起きるのではなく、血流が悪い事や、血が不足する事で、

各原因を併発し、子宮環境不全を招き、着床障害に繋がりますし、1つずつ直していくことで、抜本的に良くなることもあります。

 

また、一言に着床障害と言っても、取り組む内容は人によって異なり、間違った方法は、効かないだけでなく、悪影響になることがあります。

 

卵はちゃんと育つのに、陽性反応を見たことがない方や、いい受精卵を移植しても、着床に繋がらない場合には、一度、子宮の環境作りに目を向けてみるとよいかもしれませんね。

 

1人1人に必要な取り組みは、漢方外来でお伝えできますので、よろしければご利用くださいね。

 

妊活ノート編集部

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妊活ノート編集部です。医療現場での当たり前を、より分かりやすい情報としてお届けします。正しい知識を得ることで、一日でも早い治療卒業のサポートをしたいと考えています。

住吉忍

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薬剤師 国際中医師

実家が相談薬局を営んでいるため、漢方薬に囲まれて育つ。漢方相談のお仕事に携わり10年になり、現在は不妊治療を専門にご相談をお受けしています。
京野アートクリニック高輪で毎週水曜日の漢方相談を担当しています。

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