最近、特に取り上げられることが多い、ビタミンD不足による不妊との関係性ですが、
基本的な事項については、以下で解説していますので、確認してみてください。
今回は、基礎的な検査で調べる卵巣予備能(AMH:抗ミュラー管ホルモン)とビタミンDとの関係性について解説したいと思います。
AMHとビタミンDに相関関係がある?
AMHに関する基礎的なことは以下から確認いただけます。
順天堂大学の研究チームが行った報告では、
生殖可能年齢の女性においては、血中のビタミンD濃度とAMHの値に相関関係がある
という発表をしています。
ここでいう血中ビタミンD濃度は、血中25ビタミンDと呼ばれるものです。
要約すると、20歳から39歳の女性を対象に調べ、
AMHが低い女性≒ビタミンD不足、
という結果が得られているということです。
実はこうした研究は海外でも活発に行われていて、
閉経前の女性388名を対象に行ったM. Iraniらの研究(Fertil Steril)においても、
同様の結果が得られており、
その他、Dennis NA、et al.J Clin Endocrinol Metab.2012 での発表においても、
同様の見解が示されていますが、これは非常に興味深い内容です。
女性の季節変動は25(OH)DおよびAMHレベルの両方であり、
夏期と比較して冬のAMHレベルは18%低下した。
AMHレベルの変化は、最初のAMHレベルおよびビタミンDレベルの変化の大きさと相関した。
コレカルシフェロール(ビタミンD3)補充は、季節的なAMH変化を防止した。
ビタミンDは、紫外線(UV-B)を浴びることでコレステロールから生成される部分があります。
このUV-Bは日焼けのもとになる光ですが、服やガラスを通ることができないため、
いつも屋内にいたり、日焼け防止をしていると、どうしても吸収不足になります。
また、冬になると、オゾン層で多くの紫外線が吸収されてしまうので、
夏と同じように日光を浴びたからといって、同じだけの紫外線を浴びたことにはなりません。
そのため、ビタミンDは夏は高く、冬は低くなるのが常といわれています。
この季節変動がAMHにもあるということがわかり、
不足しがちなビタミンDを補充したことによって、AMHの低下を免れた
という報告です。
このように卵巣予備能とAMHには相関関係があることが徐々にわかっており、
ビタミンDを摂取することで妊娠に向けてプラスに働くことが大いに期待されます。
ビタミンDの受容体は、卵巣だけでなく、子宮や胎盤にあることがわかっており、
男性の精巣にあることもわかっていますので、今後、ビタミンDと子宮内膜、着床の関係や、
男性不妊との関係についても解説していきたいと思います
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